楠木新『サラリーマンは、二度会社を辞める。』

相変わらず仕事との付き合い方への悩みは尽きませんね…

今回読んだ本は、楠木新『サラリーマンは、二度会社を辞める。』です。

以下引用です。
(p.29)彼らが語る採用基準は、(略)最大公約数的に言えば、選択の基準は「自分の部下、後輩として一緒に働けるかどうか」である。

(p.54)まずは仕事による自己実現は目指せない。ここが出発点である。

(p.56)会社や組織で働くということは、さまざまな矛盾の中で自分とどのように向き合うかが問われる。

(p.57)まずは日々の足もとの仕事に注力すれば良い。自己実現はもっと後で検討しても十分間に合うのである。

(p.81)大きな組織で働いている会社員の中には、自分が誰のために働いているのかを考えないで仕事をしている人は少なくない。わずかでも周囲の人に役立つということは、何も役立たないことに比べてはるかに意味があると私は思うのである。

(p.97)上司や先輩からの理不尽な要求をこなし、組織や人間関係の矛盾を抱えながら、軸足を自分から他社へと移すことだ。その中で仕事仲間や顧客などに貢献できる自分を目指すのである。(略)入社後10年間は、私生活を多少犠牲にしたとしても、がむしゃらに働くことに、それだけの価値はあると思う。人生の持ち時間はその後もいっぱいあるからだ。

(p.104)そもそも会社や人事部は社員一人ひとりのキャリアをきめ細かくケアできるだけの余裕もなく、もとからそうするつもりもないのである。

(p.111)「今やっていることが、誰かの役に立っているのか」「成長している実感が得られない」「このまま時間が流れていっていいのだろうか」(略)組織で働く意味に悩むこの状態を私は「こころの定年」と名付けてみた。

(p.166)私たちは会社員生活を送る中で、自分でも気づかないうちに、長年の立場が当たり前になってしまって、勝手に枠組みを自ら設定しがちだ。ところが何か大きなでき後タオなどが生じると、上司や部下、家族、また自分自身にも見えていなかった自分が顔を出す。その新な自分の発見は、自らの立場を変えるエネルギーを伴っていることが多い。


などなど…
個人的に解釈したこととしては、
・会社や人事は個人のキャリアまで考えてくれるわけではないので、仕事での自己実現は難しい。
・まずは会社で頑張ってみて、それからでいいじゃないか。来たるべき時に備えて、会社で自己と向き合おう。
というような論に感じました。

この本を知った経緯は「仕事 自己実現」か何かで検索してヒットした気がしますが、この本が書かれたのが2012年。当時から9年たった今では、転職・パラレルキャリア、1つの会社に定年まで勤める終身雇用型の働き方からの変化は、一層強いものになっていると感じます。

本のターゲットとしては、まさに「こころの定年」を迎えやすい、40代あたりを想定していると思います。
一方で、若い世代は、同様の疑問をなんとなく感じ取っていると思います。だからこそ、いろいろな働き方が増えてきているのでって、「ではどうしたらいいか?」という点について、明確な解答を得ることが難しいな。


「仕事での自己実現はできない」というキーワードでは、宮台真司が思い浮かびました。
一時期彼の著作や考え方に興味があって、書籍を集めて読んではいたのですが、今は手元にないので、『宮台教授の就活原論』や『14歳からの社会学―これからの社会を生きる君に』あたりを再読しようと思います。


http://www.miyadai.com/index.php?itemid=252


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?