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【初体験】真っ暗な中で…

東日本大震災のときは、不謹慎ながら計画停電地域でないことを残念に思っていたのだが、よもやよもやの地震で停電だよ。

しかも初期微動の段階で明かりが消えた。

真っ暗になった後にスマホが緊急地震速報を流してくれてもなあと不思議な感覚だった。それより前に家族全員が動き出していた。私は1階、ほかは2階にいたのだが。

しかし、そのあとの揺れは確かに大きかった。

2011年3月11日とはまた違うが、あれ以来のゆったりした大きな揺れでもあった。ゆったりする前にはもっと速く揺れていたか。

いつまで揺れていたのかがまるで分らなかった。

その瞬間はプチッという音とともに周囲は真っ暗になった。目の前のこたつの上に置いてあるノートパソコンの液晶だけがついていた。

今はみんなスマホを持っているから、ちょっとした懐中電灯代わりになる。

私は玄関にある夜間虫探索用の懐中電灯を取りに行った。ノートパソコンをたいまつ代わりにして。場所は固定しているので、すぐに見つかる。もう1本ほとんど使っていない懐中電灯があるのだが、そちらは電池切れだった。あとで充電すれば…と思ったが停電でそれはできないのだった。

なんとなく、家族4人が一つの場所に最終的には集まった。ヒトという生き物の本質を感じる。

そうだ、真っ暗ということは、星がくっきり見えるのでは?計画停電に期待したのは、実はそれだった。

なんと、私よりも先に子供たちが(といっても25歳と21歳←昨日なったばかりだが)、屋上に上がっていた。停電がうちだけでないことを確認するためだ。

なんと、月は満月を過ぎて数日程度のようで、しかもかなり高い位置にある。明るい。月による影もかなりくっきりできる。

これでは星は見えない。雲もうっすらかかっているようだ。月が少しぼんやりしている。春だなあ。

夜空はあきらめた。

クミゴン(奥様)は、寝ればいいと早々に布団に戻った。

夜ご飯がまだだったので、懐中電灯で照らしつつ、ガスで卵わかめスープとカレーを温める。余震が来ると怖いなと思いつつ、カレーをときどきかき混ぜながら、待つ。

左手に皿を持ち、右手にお玉をもって、カレーを盛るとき、懐中電灯は…どうしたと思う?

歯で咥えた。

一つ問題が起きた。なんだと思う?

涎が滴り落ちそうになった(滴り落ちた?)。

カレーでパブロフの犬状態になってしまったせいもある。

スープをお椀にいれるときは、懐中電灯はあごと胸で挟んだ。

いざ食べるとき、懐中電灯はお皿の近くに置いたが、あ、そうだ、懐中電灯の明かりは消して、ノートパソコンの明かりで食べてみようとしたら、暗すぎた(笑)。

あれ、外、明かり着いたかな?1時10分。

そのままコタツで寝てた。

テレビをつけると、やはり地震のことをやっている。電車はほとんど普通に動いているようだ。今日は私は仕事休みだけどね。執筆再開。

カレー食べた後の話に戻す。

おなかも重くなり、興奮状態が続いたので、そのまま寝る気にもなれず。

懐中電灯で風呂に入るのも面白そうではあるが、お湯がぬるい場合、追い炊きできないよな、停電してると。あきらめる。

コンビニって、どうなってるのかなと、ふと気になり始める。

気になる、気になる、気になる。出かける。

月明かりがけっこうあるが、念のため懐中電灯も持って出かける。

街灯が消えている分、ふだんよりとうぜん暗いが、月明かりでやはり問題ない。

いつもと違った夜でちょっとワクワク。

向こうから人が来る。ちょっとわかりづらい。

2階から小さな明かりが漏れている家がある。懐中電灯つけている感じだな。

私道から車の通りのある道に出る。

ファミリーマート、真っ暗だわ。

反対のセブン・イレブンを目指す。

車は後ろからも前からも来るが、ちょっと怖い。ふだん、街頭に照らされることによって守られていたのだなと、初めて気づく。

こちらが透明人間状態で、車にひかれてはかなわないので、懐中電灯をつけて、後ろの下側を照らして歩く。左側を歩いていたので。

道路を横切るのもこんなに怖く感じたのは初めてもしくは記憶にないくらいの久しぶりだ。

その直後気づいた、神社前のここ、信号機真っ暗だぞ。向こうの大通りの交差点は信号ちゃんとついてるけど。ここはバスがぐるっとターンをする以外はほぼみんなまっすぐ進む、Y字路(というか知らんが)で二股に分かれた左側の道は一方通行なので、まあ、消えていても、あとは歩行者が気をつければ大丈夫な場所ではあるけど。

駅方面から帰ってくる人に時々すれ違う。また、その場にとどまっている人も。なんか薄暗いとやっぱり不気味だよ。なんか、襲われるんじゃないかとなぜか思ってしまい、つい内心身構えてしまう。右手に握りしめた懐中電灯は、いざとなったら武器となるだろう。そんなことも考える。

セブン・イレブン。やっぱり電気ついてない。

駐車スペースにとまった車がライトで店内を照らしている。

自動ドアは開いていて、人が出入りしているようだ。

そのまま進み、交差点、信号渡らずに右折。駅の方に行ってみる。

以前、あまりの大雨のため、駅改札を出てすぐのところでしばらく雨宿りさせてもらっていたことがある。そのとき、落雷で停電になった。駅は瞬時に非常電源に切り替わり、感動した。

だから、今日も駅は電気がついているだろうと確認したかった。

はたして、ホームの電気、煌煌とついていた。

それから改札の方に向かう。エスカレーターは点検時のように入れないようになっている。さすが、と思った。階段は暗い。

微妙に違和感を感じつつも階段を上っていくと、もちろん電気はついていた。電光掲示板もついている。上り電車は掲示が出ていなかった。もともともう終電終わってるかな。下りは0時10分とその次くらいが出ていたと思う。行先は確認しそびれた。

いつもはあまり通らない駅からの別ルートで家に戻ることにする。

駅前のタワーマンションの右上に月があり、うーん、カメラ持ってくればよかった。これはいい構図だぞ。

高い建物の赤い点滅するランプはずっとついている。その他、階段の明かりなども。でかい建物は設備が違うなと改めて思う。

みずほ銀行のATMコーナーはどうだあとばかりに煌煌と電気がついているのが少し離れた場所からもわかる。

ん、手前の三井住友銀行はどうかなとみると、やはりATMコーナーはついている。そこまで明るくないけど、あれでいいと思うぞ。

個人店でもなぜか非常に明るいのが灯されているところもある。店主が慎重派なのだろうなこういうところは。

みずほ銀行の明るさを目に焼き付けて通り過ぎ、ローソン。

お店閉まってる。張り紙してある。写真撮っておけばよかった。文言忘れた。「再開につきましては…」とかなんとかだったかなあ。

さっきの交差点。ほぼ待たずに渡る。

再びさっきのセブン・イレブン。さっきの車はいなくなっており、店内の様子がかえってわかった。天井の弱い明りが点々とついている。そして、営業している。

若い(たぶん)女の子(たぶん)が「とりあえず携帯の…」バッテリーといったか電源といったか忘れたが、確保したからと安堵していた。いっしょにいた人に言ったのか電話している相手に言ったのか。

レジはどうしているんだろうと目を凝らしてみたが、よくわからなかった。なにも買わないのに入るのもちょっとね。お金持ってなかったし。電子マネーは使えないだろ。いや、使えたのか?現金だけでやり取りしているような感じがしたけど、先入観によるものかもしれないし。

そのあと最初のファミリーマートにもちゃんと近づいてみた。ここは駐車場が非常に大きい(一般の駐車場もある)のだが、なんだか暗いところに入っていくのは不法侵入でもしていくようなうしろめたさがあった。

入口は開いていて、中は暗く、店員が一人ドアに近づいてくるところだった。特に張り紙はなく、店員が途方に暮れているのか?という感じだった。

さあ、家に戻ろうと体の向きを変える寸前「はぁ」と右側の至近距離でため息。「わぁ、びっくりしたあ」「ごめんなさい」若いお兄さんだった。

道路を渡って、やっぱり行きとは違う経路で家に向かう。再び月明かりを感じる。薄く影もできる。さっきよりも雲が出ているようだが、満月を過ぎて間もない月は、かまわず光を貫き通す。不思議な明るさ。さっきよりもだいぶ月が傾いて見えるのは、ここがやや下り坂のせいもあるのか、時間がたったからなのか。

ん、間違えた。満月過ぎて数日ではなく、あと何日かで満月の月の形だった(左側がほんのりぼんやり欠けてる)。月の位置だった。これを書いている今気づいた。前の方の文章の間違いは、あえて訂正しないでおく。

これを書いている途中で気づく。外が明るくなった。

電車男(25歳長男)が「気になって調べたけど、やっぱりブレーカー落としておいた方がいいよ」といってそうしていたので、うちの中は暗いままだったのだ。

二人で屋上にのぼり、やっぱりついてる。

そして、ブレーカーを元に戻す。頼りになる息子に成長したなあ。

深夜の復旧作業、本当に頭が下がる。

しかし、私は本音ではこう思ってしまったよ。直るの、はえーよ。もう少しこの状態を楽しみたかったと不謹慎に思う。

ショックでそのままコタツで寝込んじゃいました(笑)。まあ、7連勤で疲れてもいたんだけどね。その割には4時台に目覚めたが…。そして今に至る。





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