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虫嫌いを克服させる千本ノック 55本目 コモンツチバチ(小紋土蜂)のオス
自分ではたどり着けない世界というものがある。
オリンピックなどはわかりやすい例だろう。
3日前に見たハチの同定などもまさにそれ。
信号待ちしていたら、あ、なんか飛んで来た、止まれ、止まれ、止まれ~と念じてたら、ツツジの葉の上に止まった。
ん?ハラナガツチバチのちっちゃいタイプ?名前なんだっけ、まあ、いいや家で調べよう。何枚か適当に撮っておいた。
以下が全画像である。
家に帰ってから予定通り、まあこの辺に出ているだろうと『ハチハンドブック』を開く。
(※) 増補改訂版が今年の3月に出ていたの今知った。
ああ、ヒメハラナガツチバチかあ、触角長いからオスだなあ、こう書いてあるし。
最も普通に見られるツチバチ
そして、こうツイートした。
ん、ヒメハラナガツチバチのオス??#君の名は pic.twitter.com/nBpIP7wZSr
— 混沌 (@konton57) July 20, 2023
??を2つつけたのがポイントで(※)、実は、違うんじゃないかな?と思っていた。特にハチの場合は手元に資料が少ないうえに、ほんのちょっとした違いで違う種類も多いから。
(※)同定に関連したツイートで、?1つの場合は、間違いの可能性もあるけど、たぶん大丈夫だろう、?ではなくて、文末が「。」ならば、かなりの確実性で大丈夫(間違いない)だろう=確信レベルというふうに、まあこれもだいたいの感覚だが、使い分けている。
そうしたら大変ありがたいことに、覇蟆邇(はまに)人さん(@Hamani_jin )から、めちゃめちゃ詳しい解説がつきましたよ。
もう、ドドンとそのまま貼り付けますよ。
また皆さん、微妙に『見えそで見えない』アングルのお写真を~~っ…。
— 覇蟆邇(はまに)人 (@Hamani_jin) July 21, 2023
前翅の脈がハッキリ見える別アングルのカットがあれば一も二も無いんですが…。
コッチは胸部・眼の周りに黄白紋が無さ過ぎで、胸が太短く、頭が小さ過ぎる点が、ヒメハラナガ♂ではなさそうに見せています。【続→
続→】
— 覇蟆邇(はまに)人 (@Hamani_jin) July 21, 2023
特に、前伸腹節部分に(太さは充分だが)長さが足りないように見えるし…と言う事で、
コモンツチバチ♂に一票としておきます。
おお、コモンツチバチ!聞いたこともないハチ。
別角度から撮ったものないか調べたら、すでに上にリンクを張り付けもしたが、
全部同じ角度からしか撮っていませんでしたあ😱https://t.co/5hlpkW77Ls
— 混沌 (@konton57) July 21, 2023
ああ、よく見るハラナガツチバチだなと思って、写り方は気にしたけど、いろんな角度までは頭が回らなかったんだなあ。まあ、奥行きのある植え込みなので別角度もあまり選べなかったけど。
ハチ目(膜翅目)はやはり、翅の膜をきちんと撮っておかないとだなあ。
そして、これに対して、また怒涛の解説。ありがたや。
“amebaownd”の方の全写真も拝見しました。
— 覇蟆邇(はまに)人 (@Hamani_jin) July 22, 2023
翅脈は何れもハッキリとは分かりませんでしたが、最も見易い画像で見る限りでも、ヒメハラナガツチバチ(♀♂とも)を含むハラナガツチバチ族(Campsomerini)に在るはずの“2m-cu脈”の相当場所に、それらしい脈が在りそうには見えませんでした。【続→
続→】そのハッキリしない識別点以外に何か無いか、図鑑の図版や記載文を慎重に探したところ、
— 覇蟆邇(はまに)人 (@Hamani_jin) July 22, 2023
① 前胸背板側葉部の中央辺りに染みのような極小の黄白斑があるが、これは、コモンツチバチに認められる物であり、同種において、それは極小だったり完全消失する事もあるなど、変異が大きい【続→
続→】とのこと。
— 覇蟆邇(はまに)人 (@Hamani_jin) July 22, 2023
ヒメハラナガでは、前胸背板の後縁に沿った黄白線が在るが、“小点”にはならない。
② 前肢・中肢の脛節はほぼ全体が黒くなっているが、コモン♂では、前肢脛節に黄斑が見られるものの、しばしば消失するとのことで、ほぼ一致する。【続→
続→】
— 覇蟆邇(はまに)人 (@Hamani_jin) July 22, 2023
ヒメハラナガ♂では、前肢・中肢の脛節外面は通常黄白色(鮮明な写真がツイートされていましたので貼っておきますhttps://t.co/9tlaO5474h)。【続→
続→】
— 覇蟆邇(はまに)人 (@Hamani_jin) July 22, 2023
③ コモンツチバチでは、前翅径室の幅(“混沌”さんのお写真に加筆した添付図中に、“B”で示した)が短く、その径室外縁から翅端までの距離(同図中の“A”)と比較した場合、A:B=3:1 ぐらいであるのに対し、
ヒメハラナガ♂では、前翅径室の幅がかなり長く、A:B=1.5~1.2:1 ぐらいに【続→ pic.twitter.com/xFJ6PxNZep
続→】なっている。
— 覇蟆邇(はまに)人 (@Hamani_jin) July 22, 2023
以上3点より、お写真のツチバチは、コモンツチバチ♂と判断するのが最も妥当だと思われます。
ヒメハラナガツチバチ♂の翅脈がハッキリ映っている“父ちゃん”さんの写真が掲載されたツイートを貼っておきますので、比べてみて下さい。https://t.co/0QHy7cuwYy
というわけで、覇蟆邇(はまに)人さんに、おんぶに抱っこどころではないお世話になり方で、コモンツチバチのオスと決定!
ところで、手元の資料で、一番出ていそうな『狩蜂生態図鑑』にもコモンツチバチは出ていなかった。
念のため、片っ端から手元にあるものあたったら、なんと、1冊だけあった!
出版されてからすぐに買った講談社の図鑑シリーズMOVEの『昆虫』
ただし、私が持っているのは新訂版ではなく2011年発行のものだ。
ちなみに、オオモンツチバチは、上のMOVEはもちろん、小学館のNEO(ただし私が持っているのはDVDのついていない旧版)、学研の図鑑(LIVEではないもの)、学研のLIVEすべてに出ていた。
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