私はボクシングが好きだ!:日本人世界王者⑭~ 長谷川穂積 ~

元WBC世界バンタム級、フェザー級、スーパーバンタム制覇王者、長谷川穂積。
私はウィラポン戦を見て、勝利した長谷川に、内に秘めるすごい闘志を感じた。「よくやってくれた」と、労いと感謝に近い気持ちになったことを覚えている。
中学時代は卓球部に所属。市大会で優勝したこともある。
1999年11月22日にプロデビュー。4回戦時代は2度の判定負けを経験。
2002年10月27日、まだノーランカーだったが、日本バンタム級4位の熟山竜一にフルマークの10回判定勝ちを収めて注目を集めるようになる。
2004年10月30日、当時WBA4位の鳥海純と世界挑戦権をかけて対戦。10R判定で勝利し、当時WBC王者のウィラポンへの挑戦権を獲得した。
2005年4月16日、20戦目で世界初挑戦。WBC世界バンタム級王者ウィラポン・ナコンルアンプロモーション(タイ)に挑む。ウィラポンは1998年12月に辰吉丈一郎を破って王座獲得。その後、辰吉との再戦にも勝利し、さらに西岡利晃の挑戦も4度退け、この試合が15度目の防衛戦。試合は長谷川は序盤から有効打を的確に当て、4回までリードを奪っていく。終盤、長谷川はスタミナ切れを起こし始めたウィラポンを攻め立て、10回にはウィラポンをグラつかせた。最終12回まで壮絶な打ち合いを展開し、3-0の判定勝ち。世界王座奪取に成功した。
2006年3月25日、前王者ウィラポン・ナコンルアンプロモーション(タイ)との再戦となった。ウィラポンは前回の長谷川戦後、5試合を戦い全勝(4KO)。ランキング1位の指名挑戦者として日本のリングに戻ってきた。試合はラウンドが進むにつれて長谷川のパンチがウィラポンを捕らえ始め、6回には強烈な左アッパーが炸裂、ウィラポンをダウン寸前まで追い込む。そして、9回開始10秒、長谷川の右フックがカウンターでクリーンヒットし、ウィラポンが前のめりにダウン。ウィラポンは立ち上がろうと試みるも、ダメージが大きく立ち上がることができず。レフェリーがカウントを途中で試合をストップ。長谷川が前王者を返り討ちした。この試合も1年前と同じく、年間最高試合に選ばれた。
2010年4月30日、日本武道館で11度目の防衛戦。WBO世界同級王者フェルナンド・モンティエル(メキシコ)との事実上の統一戦に挑む。試合は序盤から長谷川が優位に進めていたが、4回終了間際、モンティエルの左フックをまともに浴び大きくグラつくと、その後の連打でダウン寸前に陥る。そして、ラウンド終了のゴングとほぼ同時(2分59秒)にレフェリーストップが掛かりTKO負け。この瞬間、5年間保持してきた世界王座から陥落した。
2010年11月26日、WBC世界フェザー級王座決定戦に出場。1位ファン・カルロス・ブルゴス(メキシコ)と王座を争った。長谷川は初回から積極的に前へ出てパンチを打ち、中盤から終盤ではブルゴスのパンチにぐらついた場面もあったが、結果3-0の判定勝ち。王座奪取に成功し、日本人選手としては初となる飛び級での2階級制覇を果たした。
2011年4月8日、フェザー級王座初防衛戦。指名挑戦者で元WBO世界バンタム級王者でもあるWBC世界同級1位ジョニー・ゴンサレス(メキシコ)と対戦。初回から激しい打ち合いに終始し、ゴンサレスの強打を度々被弾する。そして4回、挑戦者の右フックを浴びダウン。立ち上がったものの、ダメージが大きくレフェリーストップとなり58秒TKO負け。王座から陥落した。
2016年9月16日、WBC世界スーパーバンタム級王者ウーゴ・ルイス(メキシコ)と対戦し、ルイスが9回終了時に棄権した為3階級制覇を達成した。
2016年12月9日、記者会見を行い、「闘う理由がなくなった」として現役を引退することを表明した。戦績:41戦36勝5敗。
 長谷川は、勝つときも鮮やかで、負ける時も華々しく散った。その中でも特に、私の印象に残っているのは、ウィラポンとの第2戦である。9回、開始早々繰り出した右のカウンターがウィラポンの顎に襲いかかり、ウィラポンはマットに沈んでいった。あの強いウィラポンに2度勝った長谷川の力は、3階級制覇にふさわしいものであり、多くの感動を与えてくれたボクサーだった。

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