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この5年間でウォーカブルはどう進んだ??神戸の都市再生の圧倒的スピード感!

こんにちは。先週、日帰旅行でで神戸と大阪に行ってきました。
NY市の元交通局長ジャネット・サディク=カーン氏の来日講演会が大阪で開かれたので、休暇を取って聞きに行ったのです。
そのついでにずっと行きたかった神戸にも足を伸ばしてきました。


ジャネットさんと神戸市

ジャネットさんは、NYのブロードウェイのタイムズスクエアをはじめ、多くのストリートを車道空間から歩行者専用空間に転換させたり、バスの利便性を上げたり、はたまた、自転車道を整備したり、NYの都市空間を変革させた女性です。

ジャネットさんは5年前にも日本で講演していて、「街路が変われば世界が変わる!」と多くの公務員やまちづくり担当者をインスパイアしていました。

5年前、私は街路行政を担当していました。そして当時、神戸市は神戸の都心三宮の再生の構想を実現に向け本格始動させる時期でした。その中心が三宮クロススクエアの広場化。10車線近くある道路を3車線にまで減らして歩行空間を広げる広場化変えるプロジェクト。

当時の神戸市の都市再生の担当者の方々とは、ジャネットさんの講演会も然り、他のイベントを一緒にやったり、同時期に一緒にウォーカブル政策を盛り上げていった同志のような存在でした。

5年前の来日の際、神戸市さんがジャネットを招致した際に「よいプロジェクトだけど、10年後じゃ遅すぎる。もっとスピーディーに進めなさい」みたいにプレッシャーをかけられていたと聞きます。笑

5年経っての再来日が一つ節目のタイミングのように感じました。
なので、大阪に行くなら神戸を見ないわけにはいかない!!
と3時間の滞在でしたが、神戸のプロジェクトを見にいってきたのでした。

都心の入り口、まちの顔、三宮駅

というわけで新神戸から新幹線に乗り、地下鉄で神戸の都心 三宮駅へ。
三宮駅の駅前広場に出たときから都市再生プロジェクトの紹介がはじまります。
まずは三宮の駅前広場「サンキタ広場」。
2020年にリニューアル。アーティステックなオブジェが置かれていて、屋根になるしベンチになるし。寝転べるし。これはNYで活躍していた建築家 津川恵里さんの作品だそう。そして駅前広場だけど大型プランターの植栽がわんさか。まさに滞留できる空間。イベントもちょいちょい行われているのだとか。神戸くらいの大都市だと人が集まりすぎることへの警戒もあり、警察が設置したというカメラも置かれていました。

が、強風と雨で写真を撮っておらず残念!

テラス席がまちのイメージを変えた!?サンキタ通り。

そして鉄道の高架下沿いのサンキタ通りへ。(三宮の北側の通りって意味だと思います。)
ここは荷捌き車両のみ時間帯限定で通行許可し、それ以外は基本歩行者のみ道路に転換。
昔は阪急の高架下のお店も通りの側に開かれていなかったのですが、市から阪急側に働きかけ、通りに面してお店が連なる高架下商業施設に。お店たちが路上でも営業できるように行政側で調整し、いいかんじにテラス席の連なるストリートになっていました。
私がここを歩いたのは朝10時。しかも強風・小雨の状況で、テラス席に座っている人はあまりいませんでした。でも、お店各々がセレクトしたテーブル・椅子が並んでいて、海外のようにごく自然とテラス席運営がされているのでした。私はフランスを思い出しました。こんな悪天候でなければ、みんな普通に外に座っているらしいです。

高架下の反対側も、お店が通りに開いていて、いいかんじに建物と通りの中間領域が作られていました。え、コタツ!?ここで飲みたい!
もうこれは夜来るしかない!と朝イチにして悟ったのでした。

そそられるぅ〜!

世紀のビックプロジェクト 三宮クロススクエア

そして、三宮クロススクエアへ。プロジェクトが動き始める5年前の段階では、10車線の超広幅員の道路で、「え、これをほんとに変えられるの!?めっちゃ時間かかりそう」と思っていました。その年に数週間だけ車線を減らして周辺道路の渋滞の影響をみる社会実験をやっていたように思います。

今回見てみると、もうすでにそれの恒常化に向けて10車線→6車線の工事が進んでいたのでした。予想以上のスピード!ゆくゆくは3車線まで減らして、歩道を広げ、両側に広場空間を作るという構想です。このスピード感ならば意外と近いうちにできちゃうんじゃないか?と思いました。

ですが、これだけの道路の車線を狭めるとなると、交通量に影響は出ます。周辺の道路の交差点を改良しつつ、通過交通は他のバイパスを通ってもらうように促しながら、全体のバランスを見て進めているそう。
こーゆー話を聞くと、土木の仕事のダイナミックさを感じます。楽しい!

まちなかに点在する歩きたくなる仕掛けたち

パークレット。5年前には出来上がっていて、当時としては先進事例でよく事例集等で取り上げられていました。もうすっかり街に馴染んでいました。
広い歩道に滞在機能を持たせるために有効に使おうというもの。向かいにはフレッシュネスバーガーたドトールがあり、コーヒー片手に仕事をしてる人がいました。

三宮プラッツも半地下広場が再整備されてカッコいいモニュメントとともに、座れる空間が。運営している人たちの取り組みで、週に何回もイベントをしているそうです。

市役所新庁舎の現場近くでは、こんなキーイメージが!!
テンション上がって思わず写真を撮ってしまいました。まちに点在してるアート感も歩きたくなる要素ですよね〜

ParkPFIでアーバン度とピクニック度が増した公園「東遊園地」

そして次は東遊園地へ。東遊園地は地元との方達の活動「アーバンピクニック」の頃から気になっていた公園です。

神戸都心の結節点でもある東遊園地を、アウトドアリビングとして、日ごろから、もっと楽しく、もっと大切に使えたら、まち全体がもっとすてきになる。そんなことを考え、2015年から「URBAN PICNIC(アーバンピクニック)」と名づけた社会実験を行ってきました。

https://urbanpicnic.jp/about-urban-picnic/

その東遊園地が社会実験フェーズを抜け、ParkPFIで民間施設併設の公園としてなんともかっこよくリニューアルされたのでした。2023年4月開業ということだったのでちょうど1年前ですね。
行ってみると、神戸にふさわしい、緑が豊かなのにアーバンでピクニックなとても居心地のよい空間になっていました。カフェでは親子連れ同志でお茶していたり、ひっそりとしたベンチではカップルが談笑していたり。サラリーマンが散歩していたり。いろんな人が思い思いに寛いでいて、リベラルな都市空間の象徴のような光景でした。

この公園を見て、神戸に住めたら幸せだろうな〜と思ったのでした。
神戸市役所の人たちもスゴイし、10年間アーバンピクニックの活動を続けてこの空間を実現させた村上さんたちもスゴイ!


人に優しいグネグネ道「葺合南54号線」改め「磯上ロード」

そして最後にこのグネグネ道。前述のプロジェクトよりも先行して行われていた通りの改良工事です。もともと2車線+停車帯だけだった道路を1車線にして歩道や滞留空間を作り出しています。ベンチも点在されていました。座っている!さらに、スラローム化(グネグネ道化)やハンプをつけ、車が速度を落とす仕掛けがされています。まさに道路のリデザイン。これは堀繁先生の監修だそうで、確かに堀先生が説かれている空間のホスピタリティの原則がもりもり入っています。

これは沿道の不動産価値も上がるだろうなぁと思いました。神戸市のHPにBeforeAfterの写真が載っているのでぜひそちらもご参照を!

おわりに

これ以外にも駅ビル・駅広、公園の再整備、海側へのアクセス改善、さらには空間再編しようとしている道路もわんさかありました。
完成しているのもあれば、工事中、これから構想、というものも。

プロジェクト一覧はこちら。

神戸市発行「都心三宮NEWS」2019版 より

構想中と聞くと普段ならだいぶ先な感じがしちゃうけど、神戸だともうすぐにでも実現しちゃいそうに思います。

歩行空間を広げて、ベンチとか座れるところをいっぱい作る。
大きな広場だけでなく、小さな広場もまちのなかにどんどん再整備していく。公共空間への投資をガンガンやっている印象を受けました。
そして、その公共空間の運営にもちゃんと投資する。
「作って終わり」にしない。

そのプロジェクトの数とスピード感に圧倒されました。
5年でこんなに動いている都市、あったんですね!!

すっごいな神戸!

神戸市で案内してくださったみなさま、本当にありがとうございました。
心から応援しております!


大阪とジャネットさんの講演会の話はまた後日書きます〜。


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