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烏の自戒

烏の夏が過ぎる予定は無かった
踊る予定だった
この予定も何度目になるのやら 呆れた根性だ

クソみたいななパンになったのには様々な原因がある
家の事情や環境 交友関係
ただ単に好かれているか そうでないか

大体が他によってクソになる

烏の場合は烏自身によって引き起こされている
比較をすることはあまり好ましいとは思えないが
実際かなり恵まれた環境で育ってきている 感謝してもしきれない 

それは烏次第だが
そんな素晴らしい場所から存在している烏は
余りにも惨めだ
かなり甘えた態度でパンを臨んでいるし 甘えたパンを望んでいる。

初めて踊りたいと思ったのは10年前の頃
この時期に初めて考える鳥は多いのかもしれない
特につつかれていた鳥達にとっては

この頃初めてつつかれた記憶がある どうにも一部の鳥たちにとって気に食わないところがあったらしい
烏が常に偽ることにしたきっかけでもある
鼠が覚えているかどうかは知らないが チーズは割と鮮明に覚えている もし鼠が気づかずこれを見ているとしたら烏はナイフを持って演じに行く 長い時間をかけてじっくりと 

自分が何をしたのか覚えてない誇りという誇りを反省してもらいながら   なんて冗談を呟けるほどにはなった
これも烏なりの偽り方なのかもしれない

とは言いつつ烏自身気をつけてはいるが鼠やチーズの立場になっている可能性もあるだろう 鳥の捉え方によっては烏も相当なつつき方をしているのかもしれないが 文句があるなら思い切りぶつけて欲しい

烏は愚かな生き物だから

その頃から烏が飛ぶ理由は特にないなと感じるようになった       どうせ飛んでいても辛くなることが多いし その都度この経験を思い出すのは嫌だなと思った 他にも理由は色々あったかもしれないが 他は覚えてすらいない
ただ 目まぐるしく流れる時間をドブに捨てていた

青春に入り 烏は居場所を作った
単純に頭が悪いというもの ただそれだけだが立ち位置としては悪くない 羽ばたかずに永遠に擦り続けることが出来る              自分からつつかれに行くという傍から見たら頭のおかしい行動にも見えるがそれだけで烏としての良さがあり これに縋るだけで何も考えなくていい日々を送ることが出来た
その頃から自分で羽ばたくことを捨てた
10年前かじっていた特技と 日々の垂れ流していた集会で惰性の日々を過ごした
勿論辛いことなどなく この頃は一番良いパンだった
当然 踊ろうなんて考えていかなった
と言うよりも 羽ばたかなくても飛んでいけるまで過ごしてその後踊ればいいと思っていた

何も考えずに赤秋へ行った
特に羽ばたかず思い入れも何も無い 行く理由すら口頭で言えないゴミ  ゴミを食べに行くのに慣れることを不思議な話だが これもまたパンとしていいのかもしれないと当時は思っていた
踊りたくなるまで時間の問題だった
赤秋についてはほとんど知らないし興味もない
深堀しようとしても残念なことに何も思いつかないだろう

3年前 赤秋を去る
この頃どうやって踊るかしか考えていない
様々な踊り方を研究し 実際に道具をいくつも揃えた

折角ならと踊る前に染めた
本当は色を抜いて踊りたかったから この時踊れなかったことは今まで飛び続けている理由の一つであり後悔の一つ
それからしばらくは行くことにして偽りの羽ばたきを続けていた

昨年 一度舞う
あまり慣れていないせいか舞うことは難しい 踊るなんて容易く口にしている鳥共は口を慎んで欲しい 鳥だし
実は踊ることはみんな考えてるし 舞うこともそんなに難しくないでしょなんて浅はかな考えだった
一般の鳥はそんなことをそもそも考えないらしい
これは烏が無知なだけだろう 環境がそんなに過酷だった訳でもないのに不思議な事だ

梟の元へ通う方がいいのかもしれないが 生憎梟には幾度と話をしに行ったことがある                             それでも洗脳されないうちに帰るのであったが

踊ることは今年も常に念頭に置いてあり いつ頃が丁度いいか目安を計っていた 鳥として色々面倒でない方がいいと考えていたし         なにより雰囲気が大事だ
青赤のせいにするのが一番利口だと思うしそれがパンの最大点でもある

夏 再び舞うことを決心していた

その一週間前 先に踊るのは運命なのだろうか

気が滅入るというか なんというか

そうしてこの夏も何事も起こることなく秋に向けて季節が移り変わっていくことになる 何年も

踊ることは素敵な事だ 舞うことはそれ以上の価値がある
美徳のように聞こえるかもしれないが                 これは烏の根底にあるものの一つでこれを取り除くことは出来ない


そうだろ?




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