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世間でいう「若い」の認識は間違っている

20代はもう若くない

 成人年齢が18歳に引き下げられた。世間では18歳、20歳という年齢は青春真っ盛り、若さ溢れるというイメージで語られることが多いが実際はどうなのだろうか?
 私自身が、20歳の頃地元で小中時代のクラスメートとこんな会話をしたのを覚えている。
 「もう20歳は若くないよな~。」
 これはリアルな20歳の声なのではないかと思う。
 当時20歳の自分を思い返してみても、自分が若いという認識を既に持っていなかったのは事実だ。

人類史を見ても20歳はすでに寿命の終わりだった

 研究者の一致した見解だと、人類が誕生したころの人間の平均寿命は20歳前後であったと言われている。それが、中世くらいまでずーっと続き、ようやく産業革命前頃になって30代まで伸びたという事だ。
 つまり、人類の長い歴史から考えると99%以上の期間、人間は20歳前後で寿命を終えていたことになる。
 私個人の考え方だが、肉体的な健康、寿命がここ100年,200年の間で急速に改善したために精神面がそれに追いついていないのではないか、ということだ。
 だから、ミッドライフクライシスのような問題も起こるし、若者が自殺したり、将来に希望が持てないといった精神上の問題が起こるのだ。
 つまり、周りの環境というより、本能に刻み込まれた20歳の感覚は墓場の中にあるわけで、肉体的にも精神的にもすでに死んでいるのである。
 だから、20代は若い、というのは、単に肉体的に元気で色々と行動ができるというそれだけの理由で社会が勝手に作り上げたイメージだ、というのが私の個人的な見解だ。

本来的には肉体的にも精神的にも死んでいる20代以降

 もちろん現代社会では20歳を過ぎても生き生きとしているように見える人もいる。20代を過ぎても生き生きとしている(ように見える)人は主に2パターンいると思う。
 一つ目は、人間が後から生み出した貨幣経済や結婚などの「制度」にうまく乗っかって充実感を得ているように感じている場合だ。
 例えば、経済的に成功して金持ちになったり、今金持ちでなくてもこれからたくさん稼いでやるぞと意気込んでみたり、恋愛に夢中になったり、結婚生活が上手くいったりといったことだ。これらはすべて、人間が後から作った制度の枠内で楽しみや喜びを得たり感じているに過ぎない。

 二つ目は、食欲、性欲などの一次的欲求(生理的欲求)によって一時的な充足感を得ている場合。生物の本能であるこれらの欲求は人間の本能的な情動を呼び起こす。しかし、これら一次的欲求から湧き起こるのは、あくまで一時的な情動に過ぎず、欲求が解消されてしまえばそこで終わり、継続的な精神的充足感をもたらすものではない。

 生殖行為によって子孫を残し、その後子育てを数年行って死ぬというのが、本来の自然な寿命の在り方なのかもしれない。
 当時の3倍、4倍も長い平均80歳、90歳にも不自然に寿命が延びた現代社会はかなり異常だ。大人になってみんなが生き方に迷い、精神的に苦しむのはむしろ当然なことだ。

実際周りを見ていても思う

 20代が若いって?そんなのはまったくうそだ。
 最初に述べたように自分の若い頃を思い出してみてもそうだが、いまの周りの若者を見ていてもそう思う。
 20代でも家から一歩も出ずに引きこもり状態の若者も多くいるし、彼らが精神的に若く生き生きしているとはとても思えない。ただ、肉体的に元気で動ける状態なだけだ。それを若いと定義するのは少し違っている。

 有名な京大卒の元ニートphaさんも言っている「義務教育を終えたらもうあとは余生だ。」と・・・。
 20歳で肉体の寿命が終わることを精神面に置き換えて考えてみるとよく分かる。
 20歳が肉体の終わりであり精神の終わりと考え、0歳を始点、20歳を終点とする正規分布又は釣り鐘型のようなカーブを想像すると丁度真ん中の10歳がピークになる。
 やや単純化しすぎのモデルかもしれないが、自分の状況を振り返るとあながち的外れでもないように思える。
 つまり10歳、小学校4年生の頃は、すでに大人が考えるようなことを考えていたし、その頃はあらゆる面で精神的に毎日が一番充実していた。
 それから、12、13歳と思春期を迎えるにつれ、色々な物事に感動を覚える機会も減っていった。
 そして、中学卒業する頃までは、辛うじてまだ社会に希望も持てたが、義務教育以降になると、世の中の色々な部分に対して答えが見えてきてしまった。
 さらに、20歳に近づくと社会に対する期待も薄れ、もう自分は若くないという意識になった。

逆に考えれば大人が人生を楽しむには人間が作った創作物に乗っかって楽しむしかない

 だから、世の中の大抵のことが見えてしまい精神的に死んだ大人が、人生に喜びを見出し充実感を感じながら生きるには、人間が近代以降に生み出した「制度」や「テクノロジー」といったものに頼るしかない。
 それとともに、食欲、睡眠、性などの一次的欲求を満たす過程で刹那的な喜びを感じながら生きていく。

 我々大人はすべてのものが真新しく感動の対象だった子ども時代のように、心はもう若くはない。大人になってからくる精神的な落ち込みは本能的なもので、当然起こるものだということをよく認識する必要がある。
 人間が作った社会にある制度や娯楽をフル活用して精神的に苦しまないように工夫して生きていかなければいけないのだと思う。

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