社会科学との出会い #遺書003

大学は社会科学部でした。
今でも、文化人類学や哲学、行動経済学など、広く社会科学が大好きです。

「自然科学は"なぜ"を5回繰り返したら、たいていは現代人類にはお手上げになる。社会科学は、何回でも繰り返せる」

僕が通っていた学部の名物授業の1回目で、教授がおっしゃったことです。

自然科学は"なぜ"を3回、まあ多くても5回繰り返したら、
たいていは現生人類にはお手上げになる。

なぜ、リンゴは木から落ちるのか? 地球には重力があるから。
なぜ、地球には重力があるのか? 質量があるものには万有引力があるから。
なぜ、万有引力があるのか? ・・・お手上げ。

しかし、社会科学は、何回でも繰り返せる。

なぜ、リンゴは木から落ちるのか? 農家のおじさんが収穫し忘れたから。
なぜ、収穫し忘れたのか? おじさんは収穫の日に体調を崩していた。
なぜ、体調を崩したのか? 前の日に飲みすぎた。
なぜ、前の日に飲みすぎたのか? 娘のお祝いだったから。
・・・

確か「社会学原論」の一回目の授業で教授がおっしゃったこと。うろ覚え

すごくワクワクしたのを覚えています。

大学では、哲学、倫理、心理学、貧困問題、少年犯罪、憲法、基本的人権などを学びました。(遊びの傍ら)

社会に出てからも、たとえばサービス設計や会社MVVの設定等において、このあたりの社会科学の知識というか、考え方、世界の捉え方は、とても活きていると思います。

そして、人生の選択においても、そういった思考は大いに礎になっています。

思い返せば、社会科学、とりわけ哲学との出会いは、小学生時代に遡ります。

小学校の時、勝手にライバル視していたD君というのがいました。
D君は絵が上手で、勉強ができて、なにより男前でした。
色白で髪はサラサラ、キリっとした王子系。

小学4年生のある日の休み時間、D君が分厚いハードカバーの本を自席で広げていました。

おいマジかD君。
そんな分厚い本、見たことないよ。

サーモンピンクのカバー。
「不思議の国のアリス」のような女の子が描かれていて、不思議な魅力を放
っていました。

「これを読んだら、お父さんが1,000円くれるんだ」

そう言うD君の表情は、余裕に満ちていました。

僕はそれがたまらなく格好良く感じて、近所の本屋さんで探して、お小遣いで買いました。

それが「一番優しい哲学の本」として知られる『ソフィーの世界』でした。
僕にとっての哲学の世界との出会いでした。

正確な文章は忘れてしまったのですが、こんな一節がありました。

政治学と哲学は、どちらも人間を対象にしている。
しかし、大きな違いがある。
政治学は「人間がいかに愚かか」を突き詰める学問。
哲学は「人間がいかに賢いか」を突き詰める学問。

『ソフィーの世界』に書いてあったと個人的に記憶している、うろ覚えの一節

完全にうろ覚えなのですが、
これは結構芯を食っていると思っています。
どちらかだけでは、偏るので、どちらの視点も大事。

政治学も哲学も、社会科学の一部。
そういう懐の広さも、社会科学のいいところです。

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