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若さについて

 まだ若いんだから、と言われることが多くなった。

 このセリフ、たとえば高校生や幼稚園児には言わないと思う。
 つまり、言うまでもなく若いと見做される時期を私は過ぎてしまったと言うことだ。

 若さは善であり老いは悪である、と昔は思っていた。それどころか自分が老いていくと言うことすらもうまく想像できなくて、今のままで年齢だけが積み重なっていくのだとすら考えていた。
 具体的な数字を書いたりはしないけれど、今の自分は世間的には充分大人と見なされる年齢になっている。ここに至るまでそれなりに色々経験してきた。

 その上で今現在思うのは、多分その年齢ごとにやるべきことがあるのだ、と言うことだ。

 すでに若さ、無知と無責任が許される時代を過ぎた以上、やるべきことは昔とは変わっているはずだ。自分の始末は自分でつける、体力も代謝も落ち始めているから適度に運動し日頃から食事を見直す。人に優しく、自分にも優しくする。これまで以上に自分の調子(精神的、また肉体的な)を見極める必要がある。

 それらを今に課せられた制限ではなく、やるべきことが変わった、と表現するべきなのだと思う。雪国から南の島に引っ越したなら、セーターをTシャツに着替えるように。

 若い人がこれを読んだら、歳を取った人間の負け惜しみだと嘲るかもしれない。それで良い。大人を嘲る、蔑むことも若い人たちの仕事だと思う。そうして、今の大人たちよりも賢くしたたかな大人になっていってくれればそれで良い。

 私が若い時からやっていること。それは、書くことだ。

 これもまた年齢によって内容は変化していく。そもそもこのテキストを書き残しておこうと思ったのも、他でもなく歳を重ねた実感があるからだ。頭の中に浮かんでは消えていく物事たちを、こうして一つでも多く書いて残しておきたい。それが私の何よりの生きた証であるし、もしも誰かの役に立ったのなら本当にありがたいと思う。