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暴風雪

こんにちは。
此島このもです。

この土日、皆様どのようにお過ごしでしたか?

北海道では木曜金曜と2日間にわたった暴風雪がようやく過ぎ去りました。その爪痕を癒す作業に精を出した人も多かったと思います。
除雪をしたり玄関に吹き込んだ雪を出したり、職場に置きざりの車を助けに行ったり。

私はといえば、暴風雪での疲労を癒したくてずっと家に引きこもっていました。

私は職場がかなり近い徒歩通勤族なので、どんなに吹雪いてもスキーウェアみたいな服と長靴で通勤ができちゃうんですよね。

でもやっぱり疲れました。いつ車の飛び出してくるかわからない悪い視界。曲がり角ひとつ越えると雪山にずっぽりはまる吹き溜まりの罠。普段の倍かかる通勤時間…。

そして出勤出来ない車通勤族は有休消費せず休めるのに徒歩通勤族だけ仕事しなきゃいけない損した感…!!(しかもこんな天気なのでお客さん来ない)

まあわかってるんですけどそれがしょうがないのは。わかっちゃいるけどモヤつくぜということで、モヤモヤを吹き飛ばしたいのもあり引きこもっていました。


さてそんな疲弊ばかりの暴風雪ですが、ちょっと面白いところもあると私は思っているんですよね。
なので今日は暴風雪のちょっと良いところを書いてみましょう。


それは退勤前のこと。まず窓を見ると、いつもならもうとっくに暗くなっている時間でも雪のせいで外がぼうっと明るいんです。
窓は吹きつけられた雪や氷の粒がへばりつき何も見えない。けれども明るさはわかります。
激しい風のなかの雪ひと粒ひと粒が、光を反射して明るく見えるのです。

そして実際に外に立ってみれば、見慣れた通勤路はまるで別物。いつもの景色に被さって魔法の世界が召喚されでもしたみたいになっています。

薄暗いなか街灯を中心にぼんやりオレンジ色に染まる空気。暗いのに明るくて、明るいのに白くけぶって、すぐそこにあるはずの建物が見えない。
積もった雪は風に絶えず吹き上げられ、まるで大地から煙が立ち昇っているよう。
その風は自ら掬い上げた雪のせいで姿が見えるようになっていて、サラサラと風紋を残しながら蛇のようにうねり進んでいます。
景色に見惚れながら歩きはじめると、通りに突然現れるのは大きな雪の吹き溜まりモンスター。
他に歩く人は誰もおらず、私はひとりぼっちで異世界をさまよっているんじゃないか、そんな錯覚におちいりそうにもなります。
風は激しくうるさいのになんだかその光景からは静かさも感じて、とっても不思議な気持ちです。

風も雪もどちらも強いと視界が塞がれて周りを観察する余裕はありませんが、風だけが強いとこんな幻想的な世界が見られるのです。

いつもの景色が全く違うのって、怖いけどちょっぴりわくわくしますよね。


とはいえ私も数年前に車で立ち往生して死にかけたこともありますし、暴風雪は面白いことばかりではありません。

徒歩通勤では立ち往生はしないにしても、雪を漕いで歩くと長靴の中に冷たく雪が入り込んでくることもあります。
頭を帽子でガードしていても風は頬を切りつけごおごお怒鳴ってくるし、ふいに滑って転んだりもするし、だんだん心細くなってしまいます。

そう、そういえば、そんな長い悪路を抜けて家に無事帰り着いたときの安心感。あの安心感といったら!
これも暴風雪がもたらす良いものの一つと言えるでしょうか。

凍りついた玄関ドアを開けるのに多少手こずったとしても、玄関内にどんなに雪が吹き込んでいたとしても(古いアパートなので扉を閉めていても雪が入ってくる)、ともかく安全で暖かい我が家に帰宅できた喜びにほっと身がほどけていきます。
まずは重装備を解いてストーブの前に並べること。そして温かい飲み物を淹れる合間に冷えた頬っぺたに手を当てる。そうするとまだ冷たく強張っている自分自身を少しずつほぐしていくことができます。さあそして最後にはおまちかね!座ってぬくぬく寛ぎながら温かいものを飲む!
じんわりと幸福が喉をすべり身体の中からぽかぽかしてきます。全て飲むとようやくすっかり冷えを追い出すことができて、晩ごはん作りのエネルギーが充電される。
最高の時間です。

だから暴風雪のときはちょっぴり外に出るのが楽しみなんですよね。怖いし嫌なところもたくさんあるけど。

それにしても、こんなふうに喜んでいられるのは悪天候でも仕事をしてくださるエッセンシャルワーカーさんたちのおかげであることをつくづく思います。
停電になったりしたら家でも安心できませんし、そもそも徒歩通勤でができたのだって除雪車のおかげですしね。
本当にありがたいことです。


非日常のなか日常を守ってくれた人たちに感謝をしつつ、今日はこのへんで終わりにします。

それでは、また1週間楽しく過ごせますように。





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