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デザフェスvol.58に行って来たハナシ

こんにちは。就労継続支援ビルドの秋田です。
ビルドは札幌市でイラストとグラフィックデザインをメインの作業にしている就労継続支援B型事業所です。

ビルドの事業ではなくて運営会社の別事業(Hootalinqua)ですが、デザインフェスタvol.58に出展してきたのでレポートです。
だいたい5000字くらい。


ここ最近のビルドは、利用者さんが描いたイラストやオリジナルキャラクターをポストカードにしてイベントで販売したり、グッズに加工して販売イベントに出たりしています。

そもそものきっかけは、代表がもともとワンフェス参加ディーラーで、なんとなくものづくり方面の知識と経験が豊富にあるから、です。(サッポロモノヴィレッジも、もともと出てました)

基本的には、半年に1回ワンフェスに出る活動で過ごしてきたけれど
モノヴィレにも出るようになり、ビルドのほうでハンドメイドイベントにちょこちょこ出るようになり…という流れから

デザフェスに行ってみようか

という気持ちになってきました。

ビルドでイベントに出ているうちに、利用者さんも「販売イベントに自分で出てみたいな」と思うこともあるので、レポというか学びの部分を記しておきます。

行くか、デザフェス

実は2017年くらいに一回出てるんですけど記憶があまり無くてですね…ほぼ初めてのイベントです。これまでの間に様々な変化があって、本来抽選制のイベントが先着順になっていたので、ちょっと行きやすくなっていたというのもあり。わりと気軽に参加してきてみました。

参加したのは暗いエリア

LOW LIGHT AREAの看板
デザフェス、暗いエリアの入場ゲート

会場の中で唯一、照明が消されたエリアでアンダーグラウンドでファンタジーな雰囲気の作家さんが集まっています。
会場の様子は、ちょっと古いけど公式のインスタグラムより…

スチームパンク、魔法、サイバー、ファンタジー、ミニチュア、ガラス、光らせるときれいなもの、ちょっとダウナーな絵や小物、映像etc…バラエティー豊かでした。

ここに来ると、「光るオブジェクト」という個性は埋没し(だってみんなだいたい光るから)、創作物そのものの魅力で勝負することになります。それはもう新鮮な体験でした。

以下、デザフェス所感

人が多い

なに普通のこと言ってるんだって話ですけれど、もう本当にとにかく人が多い。

出展数は約6,500ブース‼️
1万人以上のアーティストが集結

公式Xより)

そう。参加者だけでも1万人以上いるのです。何か作って表現したい人が、1万人。
それを見に来るお客様は、その何倍もいます(だいたい1日に5~6万人くらいらしいです)。
実際、11時の開場から終了する19時まで、通路は常にお客様でびっしりと埋まっていました。
特に初日である土曜日は、通路はほぼ激流。雪解け時期の川くらいの流れ。目の前を人の波が通り過ぎていく様を、半ば呆然と見送っている時間もありました。
一般に販売イベントは初日午前はお目当ての作家さんのところに行くことが目的なことが多いので、わき目を振る余裕はない、と思います。我々、どこのイベントでも一発目に急いで来なきゃいけないタイプの作家ではないので、そういうもんかあと思って見送っていました。

以前、客としてデザフェスに行ったときはフードエリアで食べ物買ってビール飲んでのんびり遊んできた記憶があるんです。でも今回、フードエリアは常に長蛇の列。トイレも大混雑。食事とトイレにこんなに苦労するくらいには、お客様入っているなあ!という印象でした。

とにかく人の流れがすごくて。ピークの波はあるんですけれど、混雑しているときは通路を先に進むだけでも大変。人の流れに乗って移動していって、お目当てのブースにたどり着く……というイメージです。
なので、お目当てじゃない作家(つまり我々)は、その移動中の2秒くらいでお客様の目と気持ちを引き留めなくてはなりません。

目に入った次の瞬間に「あ、なんか気になる」と立ち止まってくれたら成功。
そこから先、購入してくださるかどうかは制作物次第……です。

来場者=母数が多いからそれだけで売れるでしょ、と思っていたら大間違いで、来場者が多いけれど出展者も多いのです。魅力的な商品が膨大な量で存在します。お客様の財源には限りがあります。とりあえず気になるから買っておくか、としていたら一瞬で破産するくらい物欲を刺激されるので(笑)、けっこう慎重に吟味されます。
それが仮に200円300円でも、買わないときは買わない。正直、買うときは値段じゃないんですよね。

わからないものは買わない

デザインでも同じことが言えますけれど。お客様に「?」を浮かべさせたら負けでです。広告物なら、内容を理解してもらうことが目的ですよね。商品も「それが何なのか?」を理解してもらわないと購買に結びつきません。
フックとしての"?"は必要なんですけれど。

これ、なんだろう?のあとに、「なるほど」という納得感が無いと人は動かないんです。
納得感にも色々あって
実用性、今の自分に必要なもの、作家そのものを応援したい気持ち、物語(創作物の設定)etc…
なにかしらの"答え"が必要になります。

気になって見てみて、説明してもらったり自分で試着したりしても、「結局なんなのかわかんないな」「使用場面が想像つかないな」となると買いません。

なので…

たくさん説明する

秋田は普段、あまりお客様に関わらないタイプです。自分が客側のときに苦手だからです。でも、デザフェスでは声かけと説明をこまめにすることを意識しました。
先人たちのレポでも「お客様とお話したほうがイイ」と書かれていたので…(ありがとう、先人たち)。

まず一言目は「触ってOK」というメッセージを伝えること。
遠巻きに見ていたお客様が近づいてくれたらOK。あとは少し様子を観察します。

近づいて興味を持ってくれたら、素材や機能(ボタン電池で光る)を説明しておきます。
使用しているモチーフが、あまりにも人々の暮らしに馴染みが無いアイテムなので説明は必須です。
ここで、「よくわかんない」というリアクションだった場合は、だいたい離脱していきます。
見てくれてありがとう、の気持ち。

さらによく見てくれている様子があったら、それぞれの商品について細かく説明をしていく、という流れです。

たとえば写実的な絵を使用したグッズを売っている作家さんは、人が通るたびに「すべて写真ではなく自分で描いたイラストを加工しています」と発信していました。

自分が作っているものを一言で端的に表現できるとお客様が足を止めてくれる頻度が上がります。

他者に何かを伝える上で、言語化は重要ですね。

レイアウト

デザフェスのブースはSブースとMブース(と、Lブース)に分かれています。今回はMブースを借りました。
Mブースは1.8m×1.8m。隣のブースとのスキマはありません。
ちなみにサッポロモノヴィレッジでは「スタンダード」が2.0m×2.0mです。これまではソーシャルディスタンスも設けられていたので、かなりゆったりしたスぺースでした(12月開催の2023冬からディスタンスは無くなります)。
正直なところ、狭いです。幅180cmの一般的な会議テーブルをブースの前面に使うと出入りができなくなるので、少し幅が狭いものを選択する必要があります。お隣のブースがパネルを立てていたり、エリアびちびちにレイアウトしていた場合は、自分たちのブースのレイアウトをその場で考えなおす必要もあります。
近隣の皆さんと仲良くして、相談の上で快適に使う方法を模索しないといけないですね。
設営時は挨拶が絶対!
暗いエリアは2日間参加なので、他の作家さんと会話する機会も多いです。協力体制を取れるようにしてお互い助け合っていくと、良いことがあります。人とのつながりはその後も続いていきますよ。

***

ここからは、利用者さんがこれから販売イベントに出たい!と思っているときに準備しておくといいことです。

ファンをつける

デザフェスに関しては、とにかく出展者数が多すぎるので事前にリサーチして狙いを定めて買い物に行く人が多いと思います。
○○さんがデザフェス出るなら行きます!のお客様がたくさんいればアウェイをホームにできますよね。
対面イベントは通販と違い、作家さんお客様が直接やりとりできる場でもあるので、そのバリューを大いに活用すると吉!です。
ちなみに秋田は、客のときはこっそり行ってこっそり買って、帰ってからSNSに上げるタイプです。

SNSのフォロワーが多くないと拡散もされず知名度ゼロの状態でアウェイに乗り込むことになります。(あ、我々は弱小アカウントなので全然拡散されなくて知名度ゼロの超アウェイでしたよ!デザフェスほぼ初参加の弱小アカウントが、すぐうまくいくはずもなく…)
デザフェスにはリポストまつり(旧リツイートまつり)という公式が拡散してくれる日が存在するのですが、現在のSNSの仕様だとフォロワーが拡散してくれないとリポストまつりだけでは全然人目に触れず世の中に拡散されません。
日ごろからフォロワーと交流していきましょう。

体力をつける

デザフェスに限らず、イベントは基本的に立ち仕事です。
座って対応できるようにレイアウトを考えることもできるけれど、接客するときはフットワーク軽めが吉です。比較的ひっきりなしに人が見に来るので、座っている暇が……正直ありません。
秋田はイベント参加時は着圧レギンスを履くことにしているのですが、今回はランニング用のコンプレッションタイツを新調しました。これが非常に効果的で。足のむくみによる疲れはほぼありませんでした。靴の中敷きもいいものにしたので、そちらも効果的だったかもしれません。健康はお金で買えるかもしれない、と思った出来事でした。
また、今回のデザフェスvol.58は2日間とも天候があまりよくありませんでした。具体的には、本来屋上のパフォーマンスエリアで行われるはずだったパフォーマンスは屋内に移動になりましたし、2日目は降雨のため開場が15分早まりました。
たとえば低気圧の日に起き上がれないような不調になるタイプなら、場合によっては会場にたどり着くことができないかもしれません。日々のメンテナンスで体調を整えておきましょう。(ビルドでは気象病含めて体調管理・記録を取るようにしています)
さらに、本番は11時~19時という長丁場です。店番のお手伝いに来てもらってこまめに休憩を取るなど対処をするにしても、たくさんの人と関わると疲れます。
そもそもデザフェスまでに売るものを用意しないといけないのですから、その時点で体力を削られているはずです。
本番を元気に迎えられる程度に体力をつけておきましょう。
今回、秋田たちは当日深夜に帰札して翌日朝から仕事をしていますがお勧めしません!!!
遠征組は当日も宿泊し、できれば大浴場があるタイプのホテルでしっかり疲れを癒してレイトチェックアウトを活用してのんびり帰りましょう。
可能ならば、帰った翌日もお休み取っておくといいですね。一人暮らしならば数日家を空けた分の家事が残っているはずです。
残務処理の日があると非常に気楽です。

場数を踏む

秋田自身、土曜より日曜のほうがちょっと接客上手くなった気がするのですけど笑、イベントは経験値が大きいです。
隣のブースの作家さんのやり方を真似したり、会場をまわる中で学ぶ部分もありました。
これまでにも複数のイベントに出ているので、なんとなく買いそうな様子などは、わからんでもない。という状態。
デザフェス、規模が大きいけれどハンドメイドイベントであることは変わらないので事前に地元のいろんなイベントに出ておくのもいいと思います。ビルドも札幌でイベントに色々出るので、一緒に出てみましょう。

イラストをグッズにするなら…?を考えておく

イラストレーターさんがよく売っている定番グッズがありますね。
印刷を外注に出す場合は資金力が要求されます。イベントに出るために、果たしてどのくらいの予算を必要とするのか?も考えておきましょう。
イベントでよく見かけるのはアクリルキーホルダー/スタンド、クリアファイル、アパレル系、ポストカード、イラスト集、カレンダー、トートバッグ、メガネクロスなど。
同人系の印刷屋さんのサイトに行くと、どんなグッズが作れるのかもわかります。

自分で作るものは実際に作って改良していくとより洗練されていきます。場数~と同じで、いろんなイベントに出て反応を見るのもいいですね。
デザフェス、来る人数が多いけれども客層は一般的なハンドメイドイベントと大きくは変わらないと思います。(扮装がスゴイお客様が多いですけれど!エリアの関係もあるのか、スチームパンカー、ファンタジーっぽい、異形頭、狐面、サイバーパンク系、和装etc...)

ビルドがイベントに出るときは、だいたい紙雑貨をメインに布小物、プラバンやレジンを使ったグッズを作っています。
ビルドで経験しながらレパートリーを増やしていくやりかたもアリですね。


長くなりましたが、参加した雑感はこんな感じです!
デザフェス行っている間に札幌では初雪が降って、毎日雪が舞っています。
ちょうど初登場のタカトさん(仮名)が雪景色のイラストを描いてくださいました。
#みんなのフォトギャラリー に登録しますので、これからの季節どんどん使ってください。

雪景色の山道
もうすぐこのくらい雪深くなるのかな…


いただいたサポートは利用者さんの工賃に!素敵なヘッダーイラストを描いてくださった皆さんに還元しますね。