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スペイン旅行記


2019年の9月、友人とスペイン旅行に出かけました。

またあの美しい国に自由に行く事が出来ますように。そして、出逢った人々の日常が一刻も早く取り戻せますように。

忘備録として、スペインの旅を振り返ろうと思います。少しでも写真で楽しんで頂ければ幸いです。




「20代最後の夏だよ。冒険しよう!」


友人のSuiちゃんの発案で、人生初の2人旅に出掛ける事にしました。

旅の一番の目的は、マドリードのプラド美術館に所蔵されている15世紀頃に活躍した奇想の画家、ヒエロニムス・ボスの代表作「快楽の園」を観る事です。

Suiちゃんはヒエロニムス・ボス作品やサグラダファミリアをイメージしたこだわりのネイルで空港にやってきました。繊細なネイルアートに惚れ惚れしてしまいます。

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いざ、太陽の国へ出発です。
成田空港→アブダビ空港→バルセロナ空港への合計20時間のフライトが始まりました。


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機内では立て続けに映画を3本観る事が出来ました。

「カルメン」「ミツバチのささやき」「ゲルニカ」‥iPadにあらかじめダウンロードしておいた映画のお陰で長時間の移動も映画館に変わります。

頭の中はもすっかりスペイン一色です。

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1日目 バルセロナ

現地時間で朝7時に到着しました。

疲れてはいますが足取りは軽く、意気揚々とした2人です。

初日からクライマックスのようですが、さっそく世界遺産のサグラダファミリアへ向かいます。早朝は空いていますからね。

天候にも恵まれ、太陽の光を浴びながらサグラダファミリアへ向かう坂道を登っていきます。

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街中を歩く人々もカラフルですね。

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いよいよバルセロナ最大の目的地に辿り着きました‥!

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一つの宇宙がそこにあるような、壮大な景観です。

真っ青な空とのコントラストが嘘みたいに美しくて、ぽかーんと口を開けながらふと横を見ると友人の目から涙が溢れている事に気づきました。

本当に来れて良かったね。

胸を弾ませながら、サグラダファミリアの内部へと足を進めます。

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スタンドグラス越しに太陽光がサグラダファミリアの内部を幻想的な虹色に染め上げます。

この世のものではないような、カメラでは到底撮りきれない光でした。

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創り続けるという、祈り。


サグラダファミリアの余韻に浸りながら、バルセロナの旧市街をのんびり歩きます。

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ただ歩いているだけで物語が生まれそうな歴史ある街です。

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いやぁ‥しかし、お腹がぺこぺこです。

地元の人で賑わうサンタカタリーナ市場へ向かいました。見た事もない鮮魚やカラフルなお菓子、鮮やかな香辛料に目移りしてしまいます。

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お酒とピンチョスの軽めの昼食を頂きましょう。

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そして、快活な笑顔のお兄さん達から生ハムを購入しました。今夜の晩酌のお供にしましょう。

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香辛料の使い方は分からないのですが、小瓶に詰めて並べたら綺麗でしょうね。

元気を取り戻したので、観光に戻りましょう。


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世界遺産のサンパウ病院にやってきました。

特に訪れたかった、世界で一番美しい病院です。
2009年まで診療を受ける事が出来たそうですが、現在は見学のみ可能です。

「医療で身体を治し、その建築の美しさで心を癒す」という方針に心惹かれます。
ここで静かに息を引きとれるなら、悪魔に魂を売っても良いなと思ってしまうほどです。

夕暮れ時のサンパウ病院も堪らなく美しいのでしょうね。

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旧市街を歩き、カタルーニャ音楽堂へやってきました。
サン・パウ病院と同じくモンタネールが手掛けた最高傑作として名高いコンサートホールです。
中に入るにはガイドツアーが必要だそうで、今回は残念ながらホールを見ることが出来ませんでした。
エントランスがこんなにも美しいのですから、内部はそれは美しいのでしょう。想像を巡らせながら後にしました。

「見ることが出来なかった」という経験も、想像力を掻き立てられるので好きです。実らなかった恋のようなものでしょうか。

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スペインは日差しが強いので日焼け止めを塗り直しましょう‥。

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サンタ・マリア・ダル・マル教会も見逃せません。13世紀に建てられた教会は色鮮やかなステンドグラスが美しく、心が鎮まります。

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街角で出逢ったダリさん。

夕食はイワシの缶詰やお寿司やスペインのビールを買い込み、ホテルのお部屋で寛いで明日の計画を立てます。

2人とも倒れるようにぐっすりと眠りました。


2日目 モンセラ・タラゴナ・バレンシア

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バスに揺られて、ギザギザの山に囲まれたスペインの聖地モンセラへやってきました。

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こんな岩に囲まれています。不思議ですね‥


9世紀に創建されたモンセラ大聖堂の中にある黒いマリア像に触れて祈ると願いが叶う‥という伝説があるそうです。

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それではモンセラ大聖堂の中に入りましょう。


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神聖な雰囲気に包まれています。

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モンセラの黒いマリア様の像に触れる事が出来ました。

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そして、ちょっとした不思議体験をしたのですが‥こんなに神秘的な場所なら何が起きても不思議ではありません。

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外へ出ると野良猫がいました。

猫は世界中どこへ行っても可愛いものです。

修道院で作られたワインをお土産に購入しました。

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さて、モンセラからバスで2時間ほど大移動します。タラゴナにある「悪魔の橋」という異名を持つ世界遺産ラスファレラス水道橋を目指します。

少し急な坂道なので慎重に登りましょう。

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紀元前1世紀頃にローマ帝国が当時の技術を駆使して創り上げた大きな水道橋。

当時の技術としてはあまりに高度な造りゆえに「水没しかけた村を救う為、賢い少女が悪魔を騙して作らせた」など様々な伝説があるそうです。

なんだかワクワクしますね。

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それではタラゴナから宿泊地、バレンシアへ移動しましょうか。

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遠くに地中海が見えます!

ランチはトマトの冷製スープ、ガスパチョを食べてお散歩します。この街も色鮮やかで‥ほんの少しの時間ですが滞在出来て良かった。

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お待ちかねのお夕飯は、大きなパエリアです!

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デザートは新鮮なバレンシアオレンジを丸ごと1つ剥いて食べました。

芳醇な香りが口いっぱいに広がり、果肉が弾けます。「この土地の物を頂いている‥」と実感出来る、今回の旅の一番のお気に入りでした。


この夜も私はベッドに倒れましたが、Suiちゃんは非常にタフな女性です。

「親しくなった日本人の皆さんとお酒を飲んでくるね」と言い元気に出かけていきました。

体力が‥凄い!

3日目 ラマンチャ・グラナダ

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さて、早朝アンダルシアからバスで移動し、「ドンキホーテ」の舞台になったラマンチャへやってきました。


曖昧な記憶ですが、騎士道物語を読み過ぎて、自分を伝説の騎士と思い込んだドンキホーテが風車に戦いを挑むお話です‥

テリーギリアムの映画も観なくっちゃ。

乾いた土を巻き上げうなる風車は怪物のようで、仄暗い曇天も相まって本当に恐ろしい雰囲気でした。

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ラマンチャはワインや鶏肉の煮込み料理が有名だそうです。

ほろほろの鶏肉とじゃが芋のお料理やパンを、旅する騎士の気分でお行儀良く頂きました。


そして、大移動します‥アルハンブラ宮殿へ向かいます。晴れて良かった。

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猫‥?獅子でしょうか‥?

宮殿の天井は緻密な彫刻が施されています。

万華鏡のような美しさで‥旅も中盤ですが、いよいよ気が触れそうです。

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ランプの魔人が作り上げたような、現実離れした宮殿です。アラベスク模様が施された宮殿は魔法そのものでした。

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この夜は、王国の繁栄と終焉の物語の夢をみて深く眠りました。


4日目 フリヒリアナ・コルドバ

さて、バス移動も慣れてきました。

運転手さんの笑顔に癒されます。

「オラ〜」

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さぁ、次の街が見えてきましたよ。

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スペインの小さな白い村、フリヒリアナです。

この青空の真っ白な建物‥!この景色が見たかったのです。

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突き抜けるような青空と白の街並みにブーゲンビリアの花が揺れていました。

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別の世界へ迷い込んで戻れなくなりそう。

※この後、本当に迷子になりました。

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汗をかいた後、アンダルシアの風に吹かれてビールを飲んだら思わず「くはー」という声が漏れました。

丘の上のレストランで食べた焼きリンゴは口の中でとろけます。

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「私達、強い女になろうね」と夢を語り合う2人でした。


そして次の街へ移動すると‥またしてもガラリと世界が変わります。

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アンダルシア第三の都市、古都コルドバ。
東洋と西洋の香りが融合した白い小道は細かな銀細工が並び、どこからか軽妙なスパニッシュギターの音色が聞こえます。

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鮮やかな花に彩られた美しい街並み。
白い小道を彷徨っていたら、白い鳩がじーっとこちらを見ていました。


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「幸せの青い鳥」みたいですね。

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とんでもない場所へ辿り着きました。240年かけて作られた世界最大のモスク、メスキータです。

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ガイドさんが解説をしてくれています。

「この柱の一本一本に、当時の職人達の名前が彫られています。」

生きた証をこんな風に残せるなんて、どんな気持ちだろう。

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イスラム国家の指導者により作られた世界最大級のモスクでしたが、13世紀前半に大聖堂として利用され増改築がなされたそうです。

メスキータにはゴシック、ルネサンス、バロックなど全く異なる宗教と歴史が集まった特異な建築なのです。


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「天界ってこんな感じだろうか」と臨死体験に近い感覚でした。

さて、メスキータに圧倒された後は唐草模様や幾何学模様の美しい壁や、重厚な扉が美しいコルドバの街を散策します。

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乾いた土、スパイスの香り、冷たい石の感触、オレンジ色の夕陽が溶けたような甘く纏わりつく風。

この街で覚えた感覚はこれから一生大切にしようと思います。


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「ひらけ、ゴマ!」

この夜はコルドバの街を彷徨い、偶然入ったお店で情熱的なフラメンコを観ることが出来ました。

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夕暮れ時の街には鐘の音が響いています。

いつまでもいつまでも眺めていたい夕陽でした。

最終日 マドリード

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さぁ、ついにスペイン旅行最終日、マドリードにやってきました。

ピカソの「ゲルニカ」のあるソフィア王妃芸術センターは残念ながら休館日で観ることは叶いませんでした‥!


しかし今回の旅の一番の目的はプラド美術館ですから、この際ゆっくり鑑賞しましょうか。丸一日かかる大きな美術館ですから余裕を持って行きましょう。

Suiちゃんとは一旦解散してお互い真剣に鑑賞します。


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名画の数々に打ちのめされました‥!

「快楽の園」「女官たち」「死の勝利」「我が子を食らうサトゥルヌス」「裸のマハ」

‥もう挙げたら切りがないのですが、いつか観たかった作品をゆっくり鑑賞する事が出来ました‥
魂が宿ったようにぬらぬら動いているように見える作品もあるし、絵画の中で死にゆく者は絵の中で死に続けているようです。何でしょうか、あの本物の作品のオーラは‥
一生に一度行く事をお薦めしたい美術館です。

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さぁ、旅も終わりが近づいて参りました。

マドリードのマヨール広場にはバルやお土産屋さんが立ち並び、大道芸人が芸を披露して賑わっています。

「マヨール」とはスペイン語で大きなという意味で、広場の中央にはフェリペ3世の像があります。

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広場や市場を散策し、バルでスペイン料理とビールに舌鼓を打ちながら旅の思い出を語ります。

2人とも少し頼もしい瞳になったのではないでしょうか。

Suiちゃん、本当にありがとうね。


世界中の美しいもの全てを詰め込んだような旅でした。でも、まだ世界には私の知らない事ばかりです。

「知りたい学びたい」という気持ちに終わりはありません。

今は自分と周囲の人々を守る為に外出を控え大切な場所を守る事で精一杯ですが、どんな未来が待ち受けていたとしても夢をみる事は諦めたくはありません。

何年先になるかはわかりませんが、そんな未来への祈りをこめて。



「ねぇ、次はどこへ行く?」


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