キャサリン
キャサリン。
夏の夕方によく飛んでいる、小さな虫。
正しくはユスリカというらしい。
わたしがあの虫をキャサリンと呼ぶようになったのは中学生の頃だった。
部活の先輩たちと帰っているとき、
ひとりの先輩が
「うわ、キャサリンめっちゃ飛んでる」
と言った。
え、キャサリンってなんですか。
なんか可愛くない?
そこから、わたしもキャサリンと呼ぶようになった。
今年の夏もキャサリンがたくさん飛んでいた。
わたしはあまり夏が好きではない。
暑いし、汗かくし、虫がいっぱい出てくる。
でも、だからこそ、あの虫のことをキャサリンと呼ぶ。
キャサリン(ユスリカ)は、成虫になるとすぐ交尾をし、1日から数日で死んでしまうらしい。
セミよりも短い。
キャサリンの寿命を知ってからは、頑張って生きろよ、と思うようになった。
うわ、ユスリカがいっぱいいる。
よりも、
キャサリンがいっぱい飛んでる。
の方が気分がマシではないか。
もう9月の中旬だというのに、
今日もキャサリンが飛んでいた。
サポートしたいと思っていただけた、その気持ちだけで充分です。やさしいあなたに今日もいいことがありますように♡