「原付に乗った王子様 1」

ある日、居酒屋でバイトしていた私は、飲みに来ていたクラスの男子に声をかけられた。
「この後ひま?」
「うん、まあ」
「じゃあさ、バイト終わりにちょっと会えない?」
「うん、いいよ」
バイトが終わった私は待ち合わせの駅に向かった。
「お、お疲れ~」
「うん」
「ちょっと散歩しない?」
そう言われてぎこちない空気のまま二人で歩き出した。
少し話をしていると、どうやら今日は彼の20歳の誕生日らしい。
どうやら彼女に振られたばかりで、誕生日を一緒に過ごす女が欲しかったようだ。まあいい、私も暇を持て余している。じゃあコンビニで何か買うよと言って、二人でコンビニに入った。お酒を二本買い、じゃあまた、と帰ろうとするも、どこかで一緒に飲まないかと誘われた。ああ、これは行かない方がいいやつだと心の奥ではわかっていたが、ちょっとだけならと家についていった。

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