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【感想】どんでん返し狂の方、ココですよ!【許されようとは思いません】


突然ですが、

ミスリードや叙述トリックに騙されて、
真相がわかったときにしか得られない快感
求めて小説読んでる人いませんかー?

\はーい/

あー、、、

まーた『十角館の殺人』やら『ハサミ男』を
オススメされようとしてません?

残念!!!


今回感想&お薦めするのは、

『許されようとは思いません』 著 芹沢 央


です!

いい掘り出し物を見つけました。

私の中で今作は★★★☆☆です。

私と同類のどんでん返し狂には
オススメするけど、

幼児育児中の方にはリアルすぎて
ちょい閲覧注意かも。

短編5編なんだけど、

2つ目の『ありがとう、ばあば』と
4つ目の『姉のように』

は新鮮な裏切られ方を味わったなぁと。

読む時間ない!って人はこの二つだけでも読んでほしい、そう思う。

小説裏表紙のあらすじに「ミステリー」って書いてあるけど、どちらかというと、


「ありがとう、ばあば」はミスリードに
ハマってタイトルの意味がわかったときに
怖ってなってほしいし、

「姉のように」は、してやられたって膝から崩れ落ちてほしい。

この本が好きな人は米澤穂信の『満願』も好きだと思う。



ここからはネタバレ感想↓

ネタバレ感想


短編集で5編あるからそれぞれ感想述べていっちゃうよ〜!!
未読勢は悪いこと言わないからあらすじ書いたまとめ記事でも読んできて
ハイ!回れ〜右!!!

1.目撃者はいなかった

まずね、
ミスをどう誤魔化すか考える思考パターンがこれ私?って錯覚するほどリアル

あと、ミスしたときの汗の描写なんかも
リアルすぎて過去の自分のミスした瞬間が
フラッシュバックしたわ。

みなさんもう一度読んでフラッシュバック
しておきましょうか。

震える指でマウスを操作し、先月中に作成した売上伝票を開きはじめた。
『許されようとは思いません』


あああああああ!!


どこで謝っておけば良かったのか??
と何度も反芻して眠れなくなるのが
わかっているので、私は入社2年目からは

「どれだけ早くミスを上司に報告するか選手権」を独自開催してます。

そして「タバコ」がいい仕事してんだわ〜!!

主人公の内面の焦りと最後のオチにつなげる道具の二つの役割を果たしてて見事。
十角館の殺人か。



2.ありがとう、ばあば

脇見運転中に正面衝突したレベルの衝撃。
ミスリード完璧だよぉ。もう怖いよぉ。
昔の『世にも奇妙な物語』より怖いよぉ。

なんでこのシーン2回あるんだ?
ちょっと冗長気味じゃない?

って思った部分は、
読者をミスリードにはめるための
印象操作でしたありがとうございます。

ハイハイこのばあば、
ちょっと毒親気味なのね、
恨まれてもしょうがないわね

って読者に思わせる下積み築いておいて、
最後の1行でドンガラガッシャーン!ですよ。

フォークリフトのパレット崩れかと思った



3.絵の中の男

ちょっと作風変えてきたよね。

5つの話の中で少し説明的というか、
オチがイマイチというか、、、
納得しにくいオチでした。

オチにびっくりしたというより、
個人的に子供が亡くなるときの理由が
一番抉られた。
お子さんをお持ちの方はちょっと閲覧注意。

あと気のせいか、
5つ目の『許されようとは思いません』
という表題作と使ってる道具(刑務所)
が一緒でしたね。

刑務所にいる間は油絵を描くことはできない

ふうん。そっか。


4.姉のように

主人公がじわじわと追い詰められていく過程が本当にリアル
この解像度は今まで読んだどの物語よりも段違いにすごい

姉のある犯罪を機に、

実母は何かしらの宗教に傾倒しないと精神状態が保てなくなっている

ママ友は何事もないよう振る舞っているけれど、潜在意識で犯罪者の妹としてみている。

主人公の言い分に耳を貸さない義兄夫婦。

「お前が裏切ったんやろ」
という言葉によって
上手く家庭を回せていると取り繕わなければならなくなるくだり。


芹沢さんってお子さんいらっしゃるのかなぁ。

家に子供と二人きりでいたら
叩いてしまうから
就活するけど預け先が決まらないと採用されない。
認可外の保育園に預けようにも夫が理解を示してくれない。

この話は単なるフィクションではなく
どんな母親でも一歩違えば起こりうる話。

長崎弁が「どこの家庭でも起きること」という説得力を持たせている。

方言をこのように一つの道具として使うのはすごい。


5.許されようとは思いません

閉まっていたはずのお寺開いたの、

これホラー?

話は変わりまして、

台風のときにニュースで

「増水をみに行かないで」

って言われることあるよね?

「田んぼの様子見てくる」って言って実際に亡くなられた人がいるのに、

なぜ懲りずに見に行く人がいるのだろう??
と思っていた時期が私にもありましたよ。

あれって、「見張り番」という当番制で、
台風でも排出口が詰まっていないか見に行かないと村八分にされる地域があるそうで。

また、台風がくると、
どこかに水を流さないといけないのだけど
用水路も溢れているので、

逃す先は他人の田んぼ
→みんな自分の田んぼに水を入れられないよう
 見張りに行く
→来なかった人の田んぼに水を流す

地域も実際にあるんだとか。

おわりに

芹沢央さんは2019年の本屋大賞ノミネート作品『火のないところに煙は』が有名ですが、

恥ずかしながら作者の名前やこの小説を
知りませんでした。


私が今作を読むきっかけになったのは、
朝井リョウのエッセイに
芹沢さんの名前が出てきたから

本を読むときに、
作者が紹介する、他の作家や本は
できるだけ読みたくなってしまう悲しい性…。

でもそこでいつも読まない作家に触れられて世界が広がる感じ…スキ…。


以下、芹沢央さんの紹介文

ミステリーの傾向としては、いわゆる「どんでん返し」を仕掛けている作品が非常に多い。この「どんでん返し」を期待して彼女の著作を読んでいる人も少なくない程、イメージとしては強いものになった。

一般的に「どんでん返しがある作品は、どんでん返しがあると明かす事が既にネタバレ」と言われることが多く、そのため騙されないように気構えて読む読者も多い。しかし、上手く読者の先入観を利用し、高く上がったハードルを越え続ける綿密なプロットや文章におけるミスリードは非常に高く評価されている。また、それに伴った意味深なタイトルを見事に回収していく技は非常に鮮やかであり、それが小説に心地のよい余韻を残している。
https://dic.nicovideo.jp/t/a/芦沢央


今作が芹沢さん初めましての作品になるんだけど、
私は自他共に認めるどんでん返し狂なので
過去作も読んでみよっと。

芹沢さんのオススメ作品あったらコメント等で教えていただけたら泣いて喜びます。


\インスタでもこの本紹介してるよー/
↓↓
@konohabook

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