新しいことば

特に持病があるわけではないのに、ちょっとしたトリガーで頭痛嘔吐を繰り返していた。身体が痛みということばを使って、何かに対して「イヤダ!」と言っているのだ。ただ、その訴えがあまりにも頻繁で、トリガーに対する反応が強すぎるために、身体が何を伝えたいのか受けとめることよりも、痛みをしのぐこと、痛みに蓋をすることに汲々としてしまっていた。本当の仕組みはわからない。だが長く付き合ううちに少しずつ、痛みと、身体と、向き合う準備ができてきたように思える。
ではこの問題は解決に向かうのだろうか?そうは問屋が卸さないようなのだ。(頭痛があっても働ける。これからも痛みを受け容れ折り合いをつけて生活していこう)そう思っている間にも、過労から五十肩になり右手のしびれが残る、飛蚊症になり眼の中に黒い毛糸玉が出現する、対人関係のストレスから突発性難聴が起きる……。単なる老化だとは思えない。身体が、痛み以外の新しいことばを獲得しはじめている気がする。

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