何かを書こうとする時

・ペデストリアンデッキのうへにすれちがふ開いた傘、畳まれた傘、西寄りの風

上記の自作に対し「ものを対比させた歌というのは安易な作り方だと思う」という意見をもらった。
(そうかな)と思ったが反論はしなかった。(そうかな)の中身を具体的に説明すれば「作り方の問題ではないだろう」ということ。ものを対比させた歌にも、ものづくしの歌にも、いい歌はいくらでもある。要するに、当該の作品の出来が冴えなかったという話。

何かを書こうとする時、技術的な問題はさておき、どれだけ対象を観察できているか、どれだけ考え抜いてことばを選んでいるか、どれだけ自分を疑えているかという本質的な部分が大事なのではないかと最近思うようになった。

・人のつどふ場所が静かだ谷町の寺、幼稚園、点字図書館  十谷あとり

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