太極拳教室を見つける(2)

それまで太極拳については何の知識もなく、テレビの映像か何かで見た「中国のお年寄りが、毎朝公園でやっている運動」程度のイメージしか持っていなかった。ただ漠然と、気持ちがよさそうだな、ああいう運動ができたらいいだろうな、と、憧れだけは抱いていた。
その教室で練習されていたのは楊式、二十四式の太極拳だった。見学するに、特別激しい動きもなさそうに見受けられた。通っている人たちも、家が近いからとか、仕事の帰りに立ち寄れるからと、日常の延長として気楽に取り組んでいる様子だった。何の根拠もなく、ここならいろいろ問題のある自分の身体でもついていけるのではないかと思えた。何より、自分の母と年齢の変わらない先生が、生き生きと演舞や指導をされていることに、わくわくした。それで、月に3回ほど、仕事の帰りに太極拳の教室に通うようになった。


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