歌会雑感

しばらく歌会から離れてまた戻って来てみると、いろんな人がいるなあ、みんなめんこいなあと思う。
詠まれた事物に関する豊富な知識を披瀝してくれる人がいる。
歌から妄想をふくらませそれについて滔々と語るというエンターテイメントを提供してくれる人がいる。
話すのが上手な人、説得力がある人もいる。要所要所で的を得た批評を入れて下さるとありがたい。ただ、だからといって何でもかんでもその人の意見が正しいとは限らないので盲従したりひきずられたりしないように。
初回からきびきびと意見を出して下さる人がいる。勇気があるし、頭脳明晰な人だなと思う。
何回か出席しているうちに慣れてきて正直に感じたこと考えたことを訥々とことばにして下さる人。そんな人の姿を見ているとうれしくなる。
何でもかんでもほめる人は少し困る。ほめたい根拠があるならいいが。あと、作者の人柄を褒める必要はないと思う。

・めんこいと思へばめんこく見えてくるこの呪ひは案外つよい  十谷あとり

歌会は、一首をことばに即して読む場。ことばに即して読んで、作者が何を伝えようとしたかを考える場。そして、その何かを伝えるために、ことばが生きて働いているかどうか確かめる場。話が脇道に逸れたりどこまでも拡散することはよくあり、それも楽しいかもしれないけれど、(この歌を人はどう読むだろう)と祈るような気持ちで歌を出した作者の気持ちを忘れないこと。いろんな意見が出過ぎてわからなくなった時は歌に戻る。

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