太極拳を、ひとりで、戸外で

自宅の室内では、太極拳の練習をするのに必要な空間を確保するのが難しい。そこで、戸外で練習することにした。屋上で。エントランスで。公園で。出先の神社の境内や浜辺で。昼休みの職場でも。最初は人に見られるのがすごく恥ずかしくて、がちがちになりながらやっていたが、やっているうちにふと思いついた。通りすがりの人の目より、自分が通っている太極拳教室の先生や先輩の目の方が、どう考えたって厳しいのではないか?ならばひとりで外で練習するときは、自分が気持ちよく動けることを最優先にしよう。

梅の花の季節に、高津公園の隅で練習をしていたら、そのあたりを勢いよく走り回って遊んでいた五、六歳の男の子たちのうちの一人が真っ直ぐ駆け寄ってきて、
「とぅッ」とわたしの腹を拳で突いて走って逃げていったことがあった。痛くも何ともなかったが、びっくりしてリアクションを返してあげることができなかった。「うわー、ヤラレター」くらい言ってやればよかったと今でも思う。

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