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花豆の季節

令和元年産の新豆を注文しました。
北海道産の紫花豆です。
お豆はたいてい手間がかかるものですが、
紫花豆は浸けたり、二度ほどゆでこぼしたりと、
他の種類にも増して面倒を要します。
それでも好物なのと、豆を炊いている時の、時間の流れそのものが
何とも言えず心が温まるので
労を惜しまず手間暇かけることにしています。

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花豆を火にかけながら、原稿を書きます。
コトコト、時が経つほどに、匂いにも甘みが含まれていくのがわかります。
時々、様子を見に行きます。皮が裂けないように、差し水をして・・・
そうしてふっくらつややかにできあがった時は、
とても幸せな気分になるのです。

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花豆は、お茶はもちろんミルクティーにもよく合います。
烏龍茶と合わせても、なかなかです。
食物繊維やポリフェノールが豊富なので、美容と健康にも良いのです。
お砂糖はきび砂糖を使うようにしています。
精製された白いお砂糖は、もうずいぶん長いこと使っていません。
きび砂糖なら、ミネラル成分もたっぷりで、
よりいっそう、健康的な紫花豆の煮豆にすることができます。

完成した花豆を瓶詰めにして、ちょっとしたプレゼントにしたことがありました。
相手は、全国各地の銘品・高級品には、事欠くことがないだろうと容易に想像できるような、とあるお偉い方です。
そのような方に、こんな少女じみたプレゼントは失礼かしら・・・と、ほんの少しだけ躊躇しましたが、思い切って差し上げました。
すると、思いがけず、これまた少年のように相好を崩して、

「豆を美味しく炊ける女性は数段上という感じがしますね。これは、誰にも渡さずに独り占めしてしまおう」

こんなに嬉しい褒め言葉はありません。

紫花豆にまつわる、過ぎし日の想い出。
お豆を炊く香りとともに、やさしいシーンが脳裏に浮かびます。


みなさまからいただくサポートは、主に史料や文献の購入、史跡や人物の取材の際に大切に使わせていただき、素晴らしい日本の歴史と伝統の継承に尽力いたします。