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美しくあるための習慣vol.21和蝋燭に親しむ

『赤い蝋燭と人魚』というお話をご存じですか。
童話作家の小川未明が大正時代の終わり頃に書いた、
美しくも少し怖いお話です。
幼い頃に読んだ私は、赤い蝋燭に
特別な感じを抱くようになりました。
このお話に出てくる蝋燭が「西洋キャンドル」とは違う
「和蝋燭」であることを知ったのはだいぶ後になってからです。
私は「ほんとうの赤い蝋燭の灯り」を見たいと思いました。
和蝋燭の明かりは、不思議なやわらかさがあります。
火が消えた後に蝋がほとんど残りません。
あかあかと闇を照らし、役割を終えるとあとかたもない。
この儚さは、西洋キャンドルにはないものでした。
いっそう和蝋燭が好きになったのは言うまでもありません。
夜、寝る前のひととき
ゆらゆら揺れるともしびを眺めて過ごしていると
感謝と共に静かな喜びがわきあがってきます。
陰の気が濃く漂う雨の日は、
あえて昼間に灯すこともあります。
そうして陰陽のバランスをとっているのです。
こういう贅沢を、私は愛します。



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