パンをとるか、花をとるか
女子高生の頃、
パリジェンヌの生き方というか、
暮らしへの美意識が、とても素敵だと憧れました。
特に、暮らしに花を欠かさない、ということについて。
そして、十七歳のわたしは
パンよりも花をとろう、と決心しました。
懐が寂しい時に、
どんなふうにして自分を豊かにするか。
わたしは、食べることよりも
花を飾ることを
迷いなく選べる大人の女性になりたいと
強く思ったのです。
美味しいものが大好きで
お料理も大好きな食いしん坊だけど
とっぴなものは求めてないのです。
ごはんとお味噌汁とお漬物とお海苔。
パンとサラダ、あるいはスープ。
果物と紅茶。
そんなシンプルなものがあれば満足で
ただ、きちんと丁寧に美味しく料理してあればいい。
そんな質素な食卓を
花はとびきり贅沢にしてくれる。
もし、パンか花か、どちらかしか手に入らないなら
わたしは迷わず花を選ぶ。
花を眺めながら
バクのように夢を食べて生きていけたら。
そんなことを、相変わらず思うわたしは
どうやら十七歳の頃と
さして変わっていないようです。
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