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🌸「コノハナサクヤヒメ」はなぜ富士山の神様なの?浅間神社との関係も解説!🌸

みなさん、221!最近、新しい衣装が発表されたサクヤちゃん。元々サクヤちゃんは、記紀神話に登場する「コノハナサクヤヒメ」を参考にビジュアル化させました。

突然ですが、みなさんは「コノハナサクヤヒメ」の伝説をご存知でしょうか?ニニギノミコトを夫にもち、神武天皇(初代天皇)の祖父となるホオリを含む3人の子を産んだとされています。

今回は先日の「富士山の日」(2月23日)にちなんで、コノハナサクヤヒメが富士山の神と認識されるようになった背景や、主祭神として彼女を祀る浅間神社との関係をご紹介します。

※コノハナサクヤヒメに関する記述には諸説あるため、ひとつの解釈としてこの記事をお楽しみいただければ幸いです。

「コノハナサクヤヒメ」が富士山の神になった背景

コノハナサクヤヒメは、夫であるニニギとの子供をたった一晩で妊娠します。そのため、ニニギは、「これわが子にはあらじ。かならず国つ神の子ならむ」※1と疑いました。

そこで、コノハナサクヤヒメは身の潔白を証明するために、「我が妊みし子、もし國つ神の子ならば、産むこと幸くあらじ。もし天つ神の御子ならば、幸くあらむ」※1(もしあなたの言う通りお腹の子が『國つ神の子』なら、無事に生まれてくることはないでしょう)と言って火を放ち、燃え盛る産屋の中で出産したのでした。

このときの皇子を含め、無事3人の子を産んだコノハナサクヤヒメ。そんな故事に基づいて、やがて安産や火の神として富士山に祀られるようになりました。

浅間神社の由来―富士山への脅威

その昔、噴火や溶岩の流出を繰り返していた富士山は、周辺に住む人々に恐れられていました。住民たちは富士山が噴火しないよう、ひたすら山の平安を祈念する信仰を登場させたのです。

「富士山の噴火は、神の怒りであり、神への不敬を謝し、祭祀によって繰り返す噴火を鎮めるために、富士山の頂上噴火口底部に鎮座する神を『浅間大神』として祭り、(中略)国家の宗教政策として浅間社は位置づけられていた。」※4

この浅間大神を初めて祀ったとされているのが、富士宮市にある富士山本宮浅間大社です。この神社は、第11代祟神天皇が浅間大神を鎮めるために富士山麓で祀ったのがはじまりといわれています。※5

コノハナサクヤヒメ=浅間大神?

浅間神社に祀られている浅間大神とコノハナサクヤヒメは、別の神様なのでしょうか?

富士山本宮浅間大社のサイト※3では、主祭神「コノハナサクヤヒメ」の別称として「浅間大神」を記述しています。つまり、コノハナサクヤヒメ=浅間大神と認識しているということですね。

両者を同一視するようになるまでには、浅間大神の性別に関する論争も起きていたようです。室町期頃、「浅間大菩薩が女体としてあらわれる記事が頻繁に」※2出るようになると、信仰世界では浅間大菩薩の性別論争が広まり、「男女両方の姿として解釈」する考えもあるとのこと。

また、下記によると浅間大神の女体論はコノハナサクヤヒメが富士山の神になった背景にも影響しているようです。

「古代や中世においてコノハナサクヤヒメが富士山の祭神として登場するテキストは見当たらない。論者は『塵荊鈔』のような女体論が広まったのが富士山祭神=女体の形成に大きな影響を与え、それがコノハナサクヤヒメに変わってきたのではないかと考える。とりわけ、杏庵と羅山の記述によってコノハナサクヤヒメは初めて富士山の祭神として登場する。」※2

さらに、

「彼(堀杏庵)は富士の『権現』はコノハナサクヤヒメであり、それが浅間大菩薩と一体であるとした。」※2

このコノハナサクヤヒメと浅間大神を同一視する杏庵の見解が浸透して、現在の浅間神社での信仰に繋がっているのでしょうか。いずれにしろ、現在全国に複数ある浅間神社では、コノハナサクヤヒメが主祭神として祀られています。

まとめ

夫からの疑念を晴らすために火の中で出産したコノハナサクヤヒメ。やがてその逸話から富士山の神となり、さらには富士山を御神体とする浅間神社の浅間大神とも融合していきました。

ちなみに、コノハナサクヤヒメを漢字で書くと「木花之佐久夜毘売命」。その「木花」という御神名から、桜が御神木になっています。

桜の季節はもうすぐそこ。今年の桜が咲いた頃には、富士山と桜を見ながら、コノハナサクヤヒメの伝説にふと思いを馳せてみませんか。

【参考文献】
※1 嶋田義仁『稲作文化の世界観 : 「古事記」神代神話の構造分析より』(2000年)
※2 権東祐『<研究論文>神話解釈史から見る富士山の祭神変貌論:その歴史的叙述を中心として』(2017年、日本研究)
※3  「富士山本宮浅間大社:御由緒」 
http://www.fuji-hongu.or.jp/sengen/history/index.html(2023年2月21日閲覧)
※4 山本哲『村山浅間神社の今昔』(2020年、富士学研究)
※5 火難の神として富士山に祀られた美神「木花之佐久夜毘売」日本人なら知っておきたいニッポンの神様名鑑 | Discover Japan | ディスカバー・ジャパン
https://discoverjapan-web.com/article/42056 (2023年2月22日閲覧)

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