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お辞儀の力
ジョギングコースに神社が入っている。
あれは今年の元旦。神社の前で深々とお辞儀をしているおじいさんがいた。鳥居に向かって礼をしていたのだ。
「鳥居にお辞儀?はて。どういうこと?」神社の鳥居に頭を下げる人はよく見るけど、私はしたことがない。
元日ということもあって、神社の中へ入って参拝をしてきた。と、賽銭箱の前に座り込んでいる人がいた。半纏を着てうずくまっていた。家族が危篤で回復祈願をしているおばあさんだと思った。
お賽銭をチャリンと入れたら、その音に反応するように顔をあげた。20代の男性だった。悲壮感が嫌でも伝わって来るような顔つきだった。コロナ禍だけに、仕事がうまくいかなくて悩んでいるのだと思った。神を恐れぬ現代でもどうしようもなくなったら神様に頼むしかないのだな、と。
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