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梅すだれ

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恋も仕事も頑張る江戸女子、お千代の物語!ですが現在、猿彦や松之助など天草の隠れキリシタンのストーリーから、雑賀の国の物語が展開中。
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2022年3月の記事一覧

13-1 梅すだれ 肥後の国

 そして、今海太郎のお気に入りの話は、ある剣客についてだった。

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12‐2 梅すだれ 肥後の国

「焼いたの一匹もらうわ。ええ黒曜持ってるな思て。どうやって手に入れたんや?」

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12-1 梅すだれ 肥後の国

それから一か月もの間、猿彦はぐったりと横たわって過ごした。心配する浜次郎が「食べろ。」と持ってきてくれる魚を食べることもなく。何故なら、漁師たちは釣った魚を生のまま食べていたから。生魚なんて食べたことのない猿彦には、とてもじゃないけど食べられなかった。お腹が受け付けないのだ。一度食べてみたが腹を下してしまったこともあり、陸へ帰るまで絶食状態でいた。

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11 梅すだれ 肥後の国

 浜次郎の家には妻のタイと、三人の子どもがいた。上から12、10、6歳の子どもたちに「さる!さる!」と慕われたものだから、猿彦は森での一人の生活とは一変して騒がしい毎日を過ごすようになった。タイも見知らぬ猿彦を怖がることもなく、まるで初めから家族であるように接したし、村の人たちも「山から下りて来た猿」がいると、珍しがりながらも温かく迎え入れた。

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10 梅すだれ 肥後の国

 予定通り朝までに山を下った猿彦は、次の山も越えた。その山を越えてもまた山があった。

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9 梅すだれ 日向の国

 全力で森を走る猿彦は、崖にたどり着いた。向こうの山までは十間の距離がある。この谷間には石丸と一緒に蔓で作った橋を架けた。その橋を猿彦は歩き出した。走ることはできなかった。ゆらゆら揺れる橋を落ちないように慎重に歩いて渡った。その時、カン!カン!と、田んぼや畑で鳥や動物を追い払うときに打つ竹の音が鳴り響いた。

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8 梅すだれ 日向の国

 天野原の下に位置する転法輪の村は、山之影と呼ばれていた。その名のとおり、山の陰になるからだ。朝の十時から二時ごろまでの四時間ほどしか日が照らなかった。

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7 梅すだれ 甲斐の村

 外部からの来訪者などめったに来ない山の中の小さな村、大泉。そこへふらりとやって来た坊さん、転法輪和尚。感染病で亡くなった人たちの供養をしたいから、しばらく滞在させてほしいと申し出て来た。

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