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田舎コンプレックス3

もちろん高校時代もしっかり田舎コンプレックスをこじらせていた。

ただ、自宅と高校にかなり距離があり
友達がうちに来たがる場面は減ったので
いくらか気持ちはラクだった。

しかし、思春期真っ最中。

ついに"彼氏が家に遊びに来たがる問題"が
やってくる。
これもまぁまぁ苦しいものだった。
この家を田舎を見られたら100%引かれると
思っていたし、そんな事で引く男なんてこっちから願い下げ…なんて思える程、その頃の私は強くなかった。

ただ意を決して覚悟を決めた事もある。

高校3年生の時に付き合っていた年上の彼氏。
車を持っていたから、「家まで送ろうか?」と
いつも聞かれていたが何かと理由をつけて毎回断っていたが、ある日ついに送ってもらう事を決意した。

意気揚々と出発した彼氏だったが、車を走らせるとどんどん暗くなっていく夜道。
街灯の少なさで彼氏は若干不安そうな表情、のような気がした。
そんな暗い道が続きすぎて、
結局私は怖気付いてしまった。

家の前まで送ってもらうことが出来なかった。

随分と手前でもう近いから大丈夫と言って
降ろしてもらった。
車から降りる時、ドアを開けたら
蛾みたいな虫が入ってしまった。
彼氏の虫をはたく手、今でも思い出せる。

田舎は真っ暗だからね、
光に集まる虫の速度が半端ない。

もちろん優しい人だったので、
それが原因で別れることはなく当分続いたが、
もう送ってもらう事はなかった。
私の切ない恋の思い出である。

高校を卒業すると、私は東京に上京した。
とにかく地元を出たかった。
家から田舎から離れたかった。
田舎コンプレックスから卒業したかった。

東京上京へ続く。




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