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うどんの食べ方が分からない(2023年6月5日~11日の日記)

大事なことに気づくのはいつも後

東京で買った戦利品たちをひととおり並べてみる。

良い景色だ。
ただ、そろそろしまう場所が無くなってきた。過去に買ったお気に入り達(私は気に入ったものをジャンル問わず収集してしまう癖がある)も、今はとりあえず棚に押し込んでいるだけでちゃんと整理されているわけではない。近々スクラップにでもして、いつでも見返したりたまに取り出して使ったりできるようにしたいな。

最近はこういう整理整頓にかける気力すら無かったので、この土日の旅行のお陰で私のメンタルはだいぶ潤ったんだなと、仕事から帰って部屋をさっさと片付けてしまった自分の行動力を通して感じた。客観的に見て、ここ最近の私は心の何か大事な部分(抽象的ではあるが確かにあるそこ)がかなり荒んでいたのだと気付かされた。
あたりまえだけど、リフレッシュ、大事ですね。
それでもまだお風呂に入ることとご飯を食べることができなかったので、これは明日再チャレンジします。まずはご飯を炊くところから……その前に炊飯器に残った腐った白米を片付けるところから……

このあと別のバスに乗ってもそうだった

今日の帰りのバスの運転手アナウンス、イケボ系添い寝ASMRみたいな声してるな。今にも消えいりそうな語尾だった。

人生はトイレットペーパーの引っ掛ける部分の様に

家のトイレットペーパーが全然上手く巻きとれないなと思っていたら、引っ掛ける部分が片方外れたままになっていた。

こういう、微妙な使い勝手の悪さに遭遇した際、原因を追求せずにスルーしてそのまま使ってしまうところがある。たぶん気づいてないだけで、今までの人生の中でも「なんか勝手悪いな」と思いながら、本当のことを知らずに過ごしたことがたくさんあるんだろうな。

うどんの食べ方が分からない

二時間並んでうどんを食べた。一人で。
店の中に案内されて、待望のうどんが目の前にやってくる。
味わうぞ!と思って一口目をすすったけど、自分が早食いに属していることも忘れて10分くらいで食べきってしまった。

かけうどんの天麩羅盛りを頼んだのだが、うどんを啜っているとき急に「かけうどんの食べ方ってこれで合ってるのかな…?!」という疑念に取り憑かれてしまった。「かけ」っていうくらいだから、もしかしたらこの天つゆ?みたいなやつをうどんにかけるのかも?もしくはつけるのか?なんかこのうどんも若干味が薄い気がしてきた。えっ、食べ方分かんないかも!

カウンター席に座っていたので、私のうどんの食べ方を全員から見られている感じがして、一気に緊張で汗が吹き出す。とっさにスマホで「かけうどん 食べ方」でググる。こういう時ってどうしてか電波が悪い。読み込みバーは途中で止まったまま電波はずっとグルグル回転し続け、結局最後までサイトは開かれることはなかった。うどんの食べ方が、わからん!!

うどんの食べ方が分からん……私の食べ方が合ってるかも分からん……もしこの食べ方が本来の食べ方じゃないのなら、このうどんが美味しいのかも(本来味わえるはずの美味しさを味わっているのかも)分からん……。
もう何も分からなくなったので、とりあえず、目の前にあるコシの強い小麦の練り物を一心不乱に啜る。途中から、うどんを啜っているのか疑念をすすっているのかよく分からなくなってしまった。

気づくと二時間並んで待ったうどんは目の前から消えて無くなっていた。
そそくさと店を出る。店の外にはまだ長蛇の列があった。

うどんの食べ方が、分からん……。

☺︎

以下、関東旅行つづき

☺︎

2日目の朝。

朝ごはんを食べにわざわざ早起きして「オリーブの丘」というファミレスへ。横殴りの雨が降る中、傘を斜めにして歩く。

歩いてる途中で見つけた店。
窓に白ペンで直接文字が書かれている。
独特な塗りつぶし方をしていた。
(オリーブの丘とは関係ない)



「オリーブの丘」は一言でいうとサイゼみたいなファミリーイタリアンレストランで、一方サイゼとは違う謎の”特別感”もあり、なにより九州に無いので一度行ってみたいと思っていた場所だ。朝7時から営業しているとのことなので、朝食を食べに行くことになった。

店に着いたのは8時ごろだったけど、店内はそこそこ人がいた。従業員は1~2人で、受付、注文、配膳、会計まで全てをロボットが行っている。店内は田舎のイタリア風なのにシステムはめちゃくちゃ近代的なので、ミスマッチで変な感じだなと思った。

「朝だけどハンバーグたべちゃおっかな」
「絶対にパンナコッタを食べる」
「朝からミックスグリル食べちゃっても………良いってこと?!?」
メニューを眺めながら、各々が欲望を口にする。早起きしてわざわざ知らないファミレスに行く。これだけのことなのに、我々のテンションは予想を遥かに超えて高まっていた。

「まず手始めに、『蜂蜜ナッツ(ミックスナッツに蜂蜜がかかっているやつ)』いっちゃおっかな!」と、注文のタッチパネルを操作しながら半ば興奮気味に友人が言った。われわれの興奮は既にマックスに達していた。
注文。しかし「この商品は受付できません」の文字が表示された。
「あれ、売り切れてたのかな?」「あ、じゃあわたしボロネーゼ行かせて頂きます」
注文。「この商品は受付できません」の文字。
3人の間に『疑惑』の文字が浮かぶ。
「あ、あれ、じゃあハンバーグ…」「この商品は受付できま」
「ピザ…」「この商品は受付d」
「パンナコッタ…」「この商品h」

私たちがお店に行った時間帯は8時ごろで、その時間帯には『モーニングメニュー』という決められたメニューの中からしか選ぶことができず、その中にはハンバーグもパンナコッタもボロネーゼも、もちろんミックスグリルも無かったのだ。当然といえば当然かもしれない。早朝から私たちみたいなピザにハンバーグにミックスグリルなんて調理コストが高い料理をたくさん頼もうとする輩もいるのだから、そんなのにいちいち対応していては早朝営業なんて(ましてチェーン店では)継続することはできないのだろう。

そんな事情があるのであろうことは頭では理解したけれど……それ以前に抱えていた期待感があまりに大きすぎたせいもあって……私たちのテンションはそれまでと打って変わって急降下した。
各々がモーニングメニューから朝食を選び、注文する。そんな中で、せっかく早起きしたのに…横槍の雨に打たれて歩いてきたのに…といったモヤモヤとした空気が、わざわざ口には出さないにしても周囲に漂っているのが分かった。自然と口数が少なくなる。さっきまで「パンナコッタ全種類たのんじゃおうよ!」ってはしゃいでたのに。窓の外を見ると、先程よりも雨脚が強くなって曇天が一層暗くなっている。「これが情景描写……」一人勝手に謎の納得感を味わっていた。

そんな暗いどんよりした空気を切り裂くが如く、厨房の奥から陽気なイタリア音楽が流れてきた。音はだんだんとこちらに近づいてくる。それは配膳ロボットから流れている音楽だった。
配膳ロボが陽気なイタリア音楽を流しながら近づいてくる。テーブルの近くに来た頃には、音楽は爆音に近かった。
うるせえ。
今の気分も相まってうるせえな、と思ってしまったけれど、謙虚にせこせこと働く配膳ロボの姿を見ていると「こいつも大変なんだろうな…」という同情も芽生えてきて「商品を受け取ったら確認ボタンを押してください!」なんて言われた暁にはすっかり愛おしく感じるようになっていた。ごめん配膳ロボ。うるせえとか思っちゃって。自分の抱いてしまった感情にすこし反省して、言われた通り確認ボタンを押してあげると、配膳ロボはまた陽気なイタリア音楽を爆音で流しながら厨房に戻っていった。やっぱうるせえな。

あさごはんは普通に美味しかった。不味くもないし、特別絶品!というわけでもない、平均を行く味。また来たいな、今度は普通の営業時間に…と思ったけど、この先の人生ここに来ることはもう無さそうだな、とも思った。(お店のサービスに問題があるわけではなく、関東にしかお店が無いため)

全然関係ないけど、なぜか途中で急に友人がPayPayの登録をし始めた。
今?と思ったけど「台風通過」「朝からファミレス」といういつもと違う状況が重なったせいでみんないろいろとおかしくなっていたのかも。友人は本人確認のところで上手くいかずに断念していた。

会計もロボットが行っており、結局入店から最後まで人間の従業員に会うこと無く店を後にした。これってかなり凄いことなのではないか。
なんだかベルトコンベアーに乗せられて、ロボットにテンポよく組み立てされていく部品の気持ちになった。流れ作業の接客。あと10年後くらいになったら本当にベルトコンベアに乗せられて食事してるかもしれない。入店から退店まで、椅子に座ってたら勝手に終わってる。回転寿司屋の逆。

配膳ロボ(ローマくん)

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