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撮った理由を考える

引き続き撮っています。

「なぜそれを撮ったのか」はあまり語られない。語る必要もないし、それを言っちゃあおしめぇよ的な向きもある。ただ、自分でも理由がよくわからないまま撮って逃れようのない具象になるのが趣味としての写真の楽しさで、正解のない理由を探しにいく時には抽象としての言葉の出番だ。

ちょっとアホみたいに、キャプションに撮影の意図を添えて32枚載せます。

高台の上にある家。あそこから見下ろす景色は綺麗だろうなと思った


52mmのレンズがすっぽり入る穴があり、覗くと望遠されてないのに望遠鏡のように感じた


文字は写真を狭くするから撮りたくならないんだけど、
「奇怪で珍妙」なのに声に出すと
「きちん」としているのがおもしろいと思った


盆栽のような伸び方で陽を浴びていて、さあ撮りなさいという佇まいだった


映えない料理こそ撮りたくなる


世界で1番嫌いなものが煙突なのだが、ファインダーを通すと恐怖感が好奇心に変わる
これはかなり危険なことだなとも思う


何度も行ったホテルでも、
すべての部分を見ているわけじゃない。全然ない


ここを渡って乗り込むアリエッティが見えた


この人に吸い込まれるように店内は満員


塔関連は曇りのほうが映えて見える


この3分の1くらいの人出を想像していたから驚いた


キャベツの色が綺麗だと思っていたら手が出てきた


まっすぐな道には必ず惹かれる


右手、かなり難易度の高い技術を駆使している


一心不乱な姿に惹かれる


曲がり道は知らない世界につながっているから好きだ


あまりに美味そうに食べる人を見てチャーハンを追加したくなったが、
味より景色のほうが美味しいだろうと思った


目にも止まらぬ速さで包んでいく


人が景色の一部になった瞬間にシャッターを押したくなる


スローシャッターで撮るまい、というモチベーション


中華街を食い倒しそうな迫力があった


湯気が人を呼び寄せていた


人に知られたくないことをしようとする人を迎え入れる佇まいだった


「閉じ込められている時間が長いもの」には無条件で惹かれる


いいインテリア


柱から顔が現れた


自然の造形は前衛芸術よりも奇怪な形を出してくる


棒よりも太く頼れる左の人の足


仁王立ちと配色


色よりも形に惹かれたので


平らな土地に住んでいるから驚く


対象に閉じ込められた時間に惹かれるのは人も同じ


見ての通り横浜周辺です。

近所や通勤路付近や知り合いを撮るのは、見慣れたはずの景色に異なる見方を発見する訓練になるが、よく知らない土地を歩くと自分が何に惹かれるのかが純粋に現れる。

シャッターチャンスは用意されず、捉えた風景は必ず少し遅れている。あらゆる風景を通り過ぎる自分の心の中で無作為にシャッターは起動し、脳が人差し指に出した命令が届く時間だけ遅れて世界が止まる。

写真は、知っているようでいちばん知らない「わたし」の知らない部分を引き出して写すブラックボックスの出口のようで、RAW現像でシャドーを起こすように撮った理由を探しにいく。


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