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初アンダーグラウンドへ


場違い

「どうしようどうしようどうしよう」

私は地下の入り口にいた。今日はここ『Sandinista(サンディニスタ)』で私の敬愛するアーティストが対バンをする。だがしかしだ。ライブハウスなんて行ったことない。現在30半ば、そりゃライブには行ったことはある。でもいわゆるアンダーグラウンド的な、100人規模の小さな箱で行われるライブは未経験だった。次々にちょい強面のお兄さん達が地下へ降りていく。私も途中まで行った。でも引き返した。タバコの煙が踊り場から昇ってくる。一度外に出た。

入り口の看板。かっこいい。


「どどd、どうしよう・・・ 一人で行くのこわい・・・・ガクブル」

正直帰ろうかと思った。でも、、、ここまできたのに。拠り所が一切ない私はSNSでひたすら投稿しまくった。

情けないひとり投稿。所々おともだちが応援してくれ、大変励まされた。


でもこんなことしている場合じゃない。この日の気温は2度。3月末なのに激寒。外に居続けたらしんでしまう。開演10分前、ようやく意を決した。
「経験だ!経験!!!」
「しゃぁ!!行ったるで!!!!!!」
この投稿を最後に、お兄さんたちの煙の合間をぬって、私は地下へと降りて行った。

いざっ!!!


ようこそアングラへ

扉を開けた。小さな窓の受付で名前を伝える。
「メールで予約した、こんのです。」予約していたが、向こう側のリストには載っていなかったらしい。あらら。「予約してくれてたんですよね」と立場が上っぽい人が言ってくれたので「ハイッ!」と応えて無事お会計。ほっ。
受付のお兄さんに「手の甲を出してください」と言われ「甲?」と一瞬疑問に思いつつも手を出すと、ムギュっと菱形のスタンプを押された。かかか、かわいい!会場となったここの名前が印字されてあった。そうかこういう目印を使うんだぁ!ちょっと歓喜。

かわいい
受付頭上の照明。すてき。


さて中に頑張って入ってみよう。中の照明は想像した通り薄暗く落ち着いていた。端っこにとりあえず陣取って待っていたかったが、うまいこといかず変な場所でしばしソワソワ。もうそろそろ始まりそうだったし、ステージ前に行った。一番後ろで見るとか自分の中ではありえない。さっきまで会場に入ることにビビってた人間がどうしたという感じだが、こういうところだけは度胸があってよかったなと思う。

今回は『THA BLUE HERB(ザ ブルーハーブ)』を観るのが目的。昨年、山形の蔵王で行われた遊睦民祭で、彼らのパフォーマンスを初めて見たが、もう最高だった。ステージと観客が表現を通して一体となる感じ。純粋に曲の歌詞も最高。とてつもない勇気とやる気をもらえる。いつかやろうじゃない、今やれ、という精神。昨年観たのに、今年に入ってまた山形でお目にかかれるなんて、これは行かなければというわけで勇気を持って来たわけだ。


魂を燃やす

パフォーマンスはもうほんと最高。気持ち悪くて申し訳ないが、私の目はハートマークになっていたと思う(ほんとごめん)。でもそんな仕方ない。ラッパーのBOSSは52歳。彼はおよそ1時間半のステージをぶっ通しで歌い続けるのだ(ワンマンだと倍やる)。ものすごい歌詞量を歌い続ける姿はめちゃくちゃカッコいい。もうアツすぎる。

「俺を乗り越えてくのは俺だけ」
「一番いいのなんてまだきてない」
「未来は俺等の手の中」

彼のメッセージは、だらけている自分の背中を叩いてくれる。もっとやりたいことやって生きてみろとはっぱをかけてくれる存在だ。BOSS、自分ちょっとずつ進んでるよ。
この小さな箱の中で「未来は俺等の手の中!!未来は俺等の手の中!!」と拳を挙げてコールアンドレスポンスする空気感は熱を帯びていた。みんな知らない、繋がりがあるのかないのかも定かではない観客たちが、この言葉を口にすることでそれぞれの魂に宿る炎を確かに燃やしている。そんな熱量だった。もうアチアチです。

「安くない金払ってきてくれた、でもだから出会えた」

BOSSはこのフレーズもよく言う。一流のアーティストなのに、いつでも世の中を捉える目線は自分たちと同じだ。偉ぶってない、気取ってない。それがこの言葉によく表されていると思う。感謝の言葉も、丁寧にステージから深々と礼をする姿勢も、上っ面の軽々しいものではない。一切手抜きをしない全力のパフォーマンス、全ての行動・発言が本心で本音であることが伝わってくる。重みがある。だから彼のパフォーマンスは観客の心を動かし続けるんだと思う。


・・・・・・・・・

CDを買い、サインまで書いてもらい(なんとツーショットも!!!!!)、私の脳ミソは容量オーバー。もうインプットできません。今回は対バンだったので別のアーティストのステージがあったのだが、すみません、もうふらふらだったので会場を後にした。

鼻血出そう
ありがとう、サンディニスタ


これでまた前向きに生きることができると思った。背中を見せてくれる年上の存在は正直ありがたい。頑張ろうって思える。

THA BLUE HERB の公式ページを見た。

5月25日、長野でGEZANと対バン。
フェ〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!




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