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バッハ・コレギウム・ジャパン 第159回定期演奏会 ≪ヨハネ受難曲 第二稿≫

#BCJ の定演、今回はJ.S.バッハ「ヨハネ受難曲」の第2稿 BWV245.2(1725年)です。

開演前に、指揮の #鈴木雅明 によるトークがありました。欧州ツアー中に転倒して痛めた左腕をアームホルダーで固定した痛々しいお姿でしたが、それ以外はお元気そうで少し安堵。2024年は「ヨハネ受難曲」イヤーであり、それはバッハが最初にヨハネ受難曲を演奏した1724年から丁度300年であること。(そしてその年は、1524年にルターがドイツ語の讃美歌集を発行してから200年の記念の年で、なのでバッハはコラール・カンタータを連作したそう。)そこでBCJとしては、世の中よりも1年先取りして、翌1725年に改作して演奏された第2稿を採り上げた、とのことです。

第2稿は、大半は初稿と同じではあるものの、冒頭合唱(個人的に好きで好きでたまらない曲)も終曲(あまりにも美しいコラール)も差し替えられており、他にも数曲のアリア(何れも劇的な表情の曲)の追加・差し替えされていたので、所々で新鮮でした。

演奏は、最初の頃はいつもよりやや抑え気味のように感じたのですが、徐々に白熱の度合いが増しながら、圧倒的なドラマに聞き手を飲み込んで行きました。イエスの最後の言葉 Es ist vollbracht (成し遂げられた)のアルトのアリアなど、#久保法之(カウンターテナー)の悲痛な歌に、#福澤宏 のヴィオラ・ダ・ガンバによる哀切極まりない旋律も相俟って、感極まって胸にこみ上げて来るものを抑え切れませんでした。

#吉田志門 (テノール: エヴァンゲリスト)は、福音史家が憑依したかのような表情に豊んだ歌い語りで、実に見事なもの。#クリスティアンイムラー(バス: イエス)は、威厳を感じさせる歌声。#ハナブラシコヴァ(ソプラノ)、久保法之(前述)、#加耒徹(バス: ピラト/ペテロ)等の独唱者は勿論、合唱も器楽も極上に素晴らしい演奏でした。

「ヨハネ受難曲」は私にとって、今までの人生の中で出会ったありとあらゆる音楽の中で、最も好きな曲であり続けています。通常演奏される第4稿の方が断然好みではあるものの、大幅に変更されているこの第2稿でも圧倒的な満足感を得られました。

[2024/02/04 #演奏会 #バッハ #ヨハネ受難曲 #バッハコレギウムジャパン #東京オペラシティ ]

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