見出し画像

十牛図(五):2.見跡/けんせき(後編)



廓庵かくあん禅師の漢詩:じゅ

この段階の心情は如何なるものでしょうか。廓庵禅師の漢詩を見て行きましょう。

頌曰
水邊林下跡偏多
芳草離披見也麼
縱是深山更深處
遼天鼻孔怎藏他

頌に曰く
水邊林下すいへんりんげ跡偏ひとえに多し。水ひろく山遙かにしてみち更に深し。
芳草離披りひたり、見るやいなや。
たとい是れ深山しんざんの更に深き処なるも、
遼天りょうてんの鼻孔、なんぞ他をかくさん。

ここから先は

2,121字
この記事のみ ¥ 250
期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

経典の内容をベースにした物語を創作して書籍化することを目標にしております。よろしければサポートをお願い申し上げます。