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素泊まり2000円の宿で恐怖体験

大学生の夏休み、友人AとBと一緒に△県を旅行した時に体験したお話。

なぜ素泊まり2000円の宿に泊まることになったかと言うと…
友人Aの誕生日を祝う2泊3日の旅行で、私はBと一緒にサプライズをいろいろと考えていました。
2日目に泊まるホテルが超豪華ホテルだったので、ここはあえて1日目は激安でボロボロのホテルにして、その落差を楽しむサプライズをしよう(笑)という計画をたてました。
(超豪華ホテルの宿泊費が高かったので旅費を浮かせたいというのが本音でしたが…)

宿泊予約サイトでホテルを探すと、素泊まり2000円の文字が!
その宿の外観や部屋の写真が載っていたので見たのですが…
外観はすすけた黄色の壁に謎の大きな黒い汚れが目立っていて、部屋はかなり質素で幅の狭いベッド(笑)が印象的でした。
ですが、2日目のホテルとの落差が面白かったのですぐに予約。
「おばけとか出たらやだね〜」とBと笑いながら話したのを覚えています。

そして旅行の日。
Aにはどこに泊まるかを一切伝えずに、1日目は観光地を巡って美味しい物を食べました。
そろそろホテルに向かおうか〜とナビを設定して車を運転していたのですが、どんどん人気のない道路を走っていきました。
その時に恐怖心などはなく、例の激安ボロ宿を見てAがどんな反応をするのかワクワク。

そして、20時頃に激安ボロ宿に到着。
写真で見たまんまのすすけた黄色の壁に黒い汚れが目立つボロボロの外観。
周囲にはコンビニどころか民家もなく、もう絶対に使われていないであろう線路が生い茂った雑草の隙間から見えていました。
宿の入口はチカチカと切れかかった蛍光灯の明かりで照らされていて、本当にあった怖い話に出てきそうな雰囲気だなーと変な汗が出ました。
でも、好奇心の塊のようなAは「ここに泊まるのか」と笑っていたので、私もBもそこまで怯えることなく宿の中へ。

宿の中は薄暗くとにかく蒸し暑くて、車のエアコンで体は冷えていたのにブワッと一気に汗が出ました。
受付にスタッフのおばさんがいたのでチェックインをすると、トイレとお風呂は男女共同という衝撃的な説明を受けました(笑)
(後で宿泊予約サイトを見たらちゃんとその説明書きが載っていました…)

宿にはエスカレーターがなく階段を登って3階の部屋まで行ったのですが…
階段や廊下はほとんど電気がついておらず、スマホのライトで足元を照らしながら部屋に入りました。
部屋はところどころ壁紙が剥がれていて、とにかく埃っぽいので咳が止まらない!
しかも、不良息子が暴れて壁にパンチを食らわせたのかっていうくらいの大きな穴が壁に3つほど。
そして、極めつけはドアに血飛沫みたいな跡が。
「殺◯現場かよ!」と3人でツッコミ!
部屋ではこの激安ボロ宿で朝まで安全に過ごすために会議をして、どんなに夜中でも誰か1人がトイレに行きたいと言い出したら3人でトイレに行こう!というルールを決めました。
(そうそう、ベッドの幅は本当に狭くて寝返りをしたら床に落ちました)
そして、22時頃に男女共同のお風呂に行き、幸いお風呂を利用している人はいなかったので、3人でゆっくりとお風呂に浸かり、23時頃には就寝しました。

夜中の2時頃、Aがトイレに行きたいと言い出したので、3人でスマホのライトで足元を照らしながら1階のトイレまで行きました。
トイレにはドアがなく中の様子が丸見え。
私とAは同じくらいのタイミングでトイレの個室から出て手を洗っていました。
「廊下くらい電気点けてほしいよね〜」とAと話していたのですが、廊下の方からズッズッと何かを引きずるような音が聞こえてきたのです。
「何か廊下の方から音がしない?」と言って、Aと一緒にトイレの入口から顔を出して廊下を見ました。
すると、薄暗い廊下を70代くらいの男性が足を引きずりながら、ゆっくり歩いて来るのが見えたのです。
その男性はグレーか黒のスウェットのようなものを着ていて、スリッパを履いていたと思います。
私は一瞬ドキッとしましたが、他にも宿泊してる人がいたんだと思い、その男性がトイレの前を通りがかった時に「こんばんは」と声をかけました。
しかし、男性は何も言わずそのまま通り過ぎて行きました。

その様子を見ていたAが「何でこんばんはって言ったの?」と聞いてきたので、「今人が通ったからさ」と言うと、Aは「誰も通ってないよ」と言うのです。

もう一度廊下の方を見たのですが、先程の足を引きずった男性はどこにもいませんでした。

私はあまりの恐怖で、Aとそのタイミングで個室から出てきたBの首根っこを掴むようにして、部屋まで走って逃げました。
AとBからは「暗かったし見間違いだよ」と言われたのですが、初めておばけを見てしまった!しかもおばけに「こんばんは」なんて声をかけてしまった!と大パニック!!!
私の要望で電気をつけたまま寝ることにしました。


翌日、激安怪奇ボロ宿をチェックアウトし豪華ホテルへ向かいました。
その車内でBが「あの時は言えなかったけど、病院のトイレにある検尿を提出する小窓みたいなのがあってさ〜」と言い出したのです。
それを聞いた私とAは「昔病院だった建物を宿にしたのかなぁ」と気になり、ネットで調べてみることに。


あの素泊まり2000円の激安ボロ宿は、昔は精神科病院だったみたいです。






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