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Photo by
narukuni
きみはいらない。
ミニマリストに憧れ、意識をするようになってきたこの頃。
ある日、そういえばと気になっていたことをやろうと思った。常に頭の隅に引っかかっていたもの。それは娘の父親の写真だ。携帯電話の中の数枚だけ残っていたものをどうしようかと思っていた。唯一のものであり、消すのを躊躇っていた。
いつか、娘に父親のことを話す時に必要になるかもしれないと思うからだ。ただ、フォルダーを探っているとき、目に入ってくることが絶妙にストレスだった。
先日、出勤前にコンビニに飲み物を買いに行く用があった。
その時、あっいま出来そうと思い、データを印刷し、数枚、現像にした。それから携帯電話の中のデータを削除した。
写真は車のダッシュボードに入れた。娘が絶対に触らない場所だからだ。
写真を見ても、憎しみも愛情もない。もう過去のものになっているのだと改めて感じた。
彼のものは、写真以外残っていない。これでいいのだ。彼の連絡先も消した。娘が誕生し、娘と歩む人生に彼は必要ない。彼もそれは同じだろう。彼の人生に私は必要ない。
人生で彼と関わった時間はかなり短かった。刹那と言ってもいい。けれど、彼の存在によって私の人生が大きく変わったことは事実だ。娘を授かり、考え方も価値観も変わっていった。あと体型も。
「きみはいらないんだ」
ダッシュボードを閉めながら、私は呟いた。
この写真を使うことがないまま、捨てられる時がくるといいなと願いながら。
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