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マッチングアプリで付き合うということ

先日,お付き合いをしていた彼女と別れた.交際期間たった4ヶ月の短い恋愛だった.

この4ヶ月間,コロナ禍で遠出することは少なかったけれど,テイクアウトしたコーヒーを二人で飲んだり,お互いの家で映画を観ながら過ごした時間はただただ幸せだった.大好きだった.結婚したいと思える相手に,ようやく出会えたと感じた.

しかし,わずか4ヶ月でフラれてしまった.Base Ball Bearの言葉を借りるなら,「電車乗り換えるようにフラれました」である.別れたいと言われ,僕が独りよがりの幸せを噛み締めて,一方通行の愛情を与え続けていたことをひどく痛感させられた.

「恋人としては好きじゃないけれど,友達としてならこれからも会おうよ」そう言われてしまった僕の頭の中では,諦めと悔しさと怒りが入り混じり,まったく整理ができてなかった.整理できていなかったが,唯一言えるのは,既に自分の前からいなくなってほしくない人の一人になってしまった彼女と,「友達」として再会できる余地があることに心を躍らせていたのだ.

結果として、この考えが間違っていた。マッチングアプリによって赤の他人から恋人へと急激にステップアップしてしまった僕たちに,友達に「戻る」という言葉は当てはまらない.そう、マッチングアプリを通して付き合った場合,一度別れたら友達には戻れないのである。

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例えばこれが高校のクラスメイトの間柄だったらどうだろうか.

クラスメイト(即ち友達)から恋人になり,別れたとしよう.そうなった場合の関係性は,ふたたびクラスメイト(友達)に戻るだけである.

しかしマッチングアプリにおいては,赤の他人から友達というステップを踏まずに恋人になれる特急券だ.その代わり,別れた場合の関係性を表す言葉が「元カレ」あるいは「元カノ」しかない.

本来,友達という言葉は親しく遊んだりできる間柄のことを指すと思うが,共通の知り合いもいなければ,住んでるところも出身も仕事も違う状態で「友達」になることなど不可能である.

思い出してほしい.中学時代,高校時代はよく遊んでいたものの,卒業後にはめっきり会わなくなってしまった友達はいなかっただろうか?

マッチングアプリにおいては,いっときは心も身体も裸になって仲良く愛し合えていたカップルでも,一度別れると,すぐさま赤の他人に逆戻りせざるを得ないのだ.

これは結構残酷なことだと思う.

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もし,お互い友達のつもりで飲みに行ったとしても,別れたことを知っている側からすると,ただの元カノを諦め切れない未練がましいダメ男と,その気持ちを弄ぶダメ女(あるいはその逆)といった構図ができあがる.

そうなってしまったらお互い幸せになれない.なぜなら関係性を表す言葉が元恋人しかないのだから.どちらか片方に新しい恋人がいたとして,自分の恋人が元恋人と会っていると知ったらその人はどう思うだろうか?溜まったもんじゃない.即刻縁を切って欲しいと思うだろう.

それを「いや元カレだけど今は友達だから」という説得力ゼロの言い訳で納得できると考えているとしたら恋愛をナメすぎてる.


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