見出し画像

生きていてよかったと思った瞬間


今日、初めて一人で六本木に来ました。
家族や友達、恋人とは一緒に訪れたことがある
お気に入りのツタヤに足を運びました。
ここは海外の雑誌や写真集まで置いてあって
歩くだけでワクワクします。

ここで1冊本を買って
併設されたスタバで読もうと思い、
「アンニョン、大切な人。」
という本を買いました。

冒頭の「幸せな瞬間がありました。」
という文を見て、
わたしはあるシーンを思い出しました。
生きていてよかった、と思った瞬間の記憶です。

不登校になったり、退学したり、
心療内科に通ったり、自傷行為をしたり、
そういった過去が全部
温かいものに思えた瞬間の記憶です。


わたしは、高校2年生のときに
学校に馴染めず不登校になりました。
夜眠れずに泣き出す日が出てきて
登校しても駅のトイレから出られませんでした。

先生から心療内科の受診を勧められて
そこでうつ病と診断されました。
処方された抗うつ剤は
週1回の受診の度に増えていきました。

少ししか目を開けられず
歪んだ顔で話すわたしに
主治医は苛立っていました。
そのうち髪を引き抜いたり
顔や腕を引っ掻いたりするようになりました。

心療内科を転々として、
3つ目のクリニックで初めて
「うつ病ではない」と診断され
それから減薬が始まりました。

わたしは離脱症状が酷く
吐き気や痺れで寝たきりになりました。
半年ほど経ってから
ようやく日常生活が送れるようになったので
卒業認定試験を受けて高校は中退しました。


20歳になった頃、
当時通院していた病院の主治医に勧められて
近所のデイケアに通い始めました。

朝からラジオ体操を第2までやったり
20も30も歳上の人とレクリエーションをするのが
なんだか怖くて、
最初は月に1〜2回しか行けませんでした。

3年ほど経ったとき
デイケアに同世代の若い人たちが増え始めました。
少しずつ友達ができて
わたしはほとんど毎日通うようになりました。
そのときに、今の恋人に出会いました。

彼は休職期間が終わると
デイケアを卒業しましたが、
卒業してからも年に数回は遊ぶ仲で
出会ってから3年ほど経ったときに
付き合い始めました。


ある日、わたしは家に帰りたくなくて
家から少し離れた駅の川沿いに
夜まで座っていました。

彼氏の退勤時間になったので
彼氏からLINEが来て
わたしはこのことを伝えました。
彼氏はしばらくして川まで来てくれました。

結局帰ることになるのはわかっていたけど
わたしたちはギリギリの時間まで
川沿いに座っていました。

すると彼が
「俺の家に泊まる?家族に聞いてみるよ」
と言い出しました。


彼は原付で来ていたので
わたしだけバスに乗って彼の家に向かい、
彼とはバス停で待ち合わせしました。

夏の夜、少ない街頭の中、
大きな公園の木々に囲まれて
原付を押す彼の後ろをついていったとき。

わたしは、
生きていてよかったと思いました。

生まれてから今までの
全部が必要だったんだと気づきました。

ボロボロの姿で寝たきりだったわたしは、
今一人で六本木のスタバで本を読んでいます。
思い立ってノートまで書いちゃってます。
なんて素敵な日なんでしょう!

きっとこの瞬間も、
未来のわたしの栄養になっているのです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?