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小さな事を大切に

いつもより30分早く目が覚めた。
蝉もほとんど鳴いていないし、カラスの声も聞こえない。
窓を開け、優しく吹き抜ける風の音と香りを顔に浴び、軽い朝食を摂った。
朝、近くの緑地へ目を覚ましに行くのも、30分早かった。
さすがに30分も早いと、空気感がまるで違うけど、自分はやはり静かな方が好きだ。

ほどなくして帰宅すると、コーヒーを一杯。
沸かすお湯の泡立ち具合に気を配り、ドリップする時も、注ぐのが多過ぎないよう、また少な過ぎないように集中する。
この張り詰めた集中あるいは緊張の中に、ドリップポットのエイジングへの満足感、フィルターで綺麗に泡立つコーヒー豆を見た時の楽しみなども、よく見れば浮いたり消えたりしている。
叔父から頂いたグァテマラの豆は後味が深く、ゆっくりちびちび飲むのにちょうど良い。

コーヒーを飲みながら部屋を見渡すと、必ず観葉植物が目に入る。
観葉植物は、話題に事欠かない。
フィカス・ウンベラータの脇芽が一向に伸びないので、親から離して別個に育てることにした。
まずは水差しで様子見だ。
暖かい季節はしばらく続くから、寒くなるまでには根を張ってくれるだろう。
ちなみに、ウンベラータの成熟しきる前の葉っぱの表面は、柏餅をくるんでいる葉っぱとよく似た、森の中に居るような香りがする。
微かな香りなので、香水を振ったりスナック菓子を食べた後はまったく鼻が感知しない。
ある意味、ウンベラータの葉っぱの香りが分かるかどうかで、今の自分の体のピュアさを占えるかも知れない。

お盆休みの暮らし方が毎日似ているが、その割には満足している。
朝食を食べるとか、コーヒーを淹れるとか、植物をいじくるのは毎日のことだが、その毎日起こる小さな事を丁寧に、大切にしていきたい。

さて、どんな姿になるだろうか。

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