兵どもが夢の跡 (300文字小説)

お世話になった上司から久しぶりに連絡がきた。
手伝って欲しい仕事があると言う。
「また、色々教えてやるよ」
厳しかった上司。歳を重ねてすっかり丸くなった。
創業事業のお手伝い。最初は夢も語れた。
だが、結局は一年持たずに、開店休業状態のまま終わりを迎えた。
事業の機材を売り払い、最後に食事をした。
「兵どもが夢の跡、だな」
しんみりとした食事。
「人生あっという間だな。俺はつい最近６０になったと思ったら、もう７０だしな」
僕は黙って聞いていた。
「それじゃな」と言い、上司は去った。
「夏草や兵どもが夢の跡」
志半ばにして散るのは悲しい。
でも、志に従ったという自負は得られる。
上司と再び時を過ごせた時間は、貴重な財産だ。

【ご案内】
写真展を行います。どなたでもご自由にご覧いただけます。
「光のより道」
～明日への景色が輝き出す、小西隆博の心安らぐ写真展～
○会期：2019年3月12日(火)～17日(日)　12:00-19:00(＊最終日は16:00 まで)
○会場：Roonee 247 fine arts（ルーニィ・247 ファインアーツ）
東京都中央区日本橋小伝馬町17-9 さとうビル４階　03-6661-2276
JR 馬喰町駅②番出口より3 分（馬喰横山駅、東日本橋駅が地下道で繋がっています）
東京メトロ小伝馬町駅２番出口から5分