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シニアと若者が共働する意味とは?

最近はシニアの方々と話をする機会が急激に増えています。「もし波平が77歳だったら?」の発刊も大きな契機となりましたが、何よりも自分自身がこれからの日本のシニア社会の行く末を案じ、さまざまな角度で物事を捉えるようになってきたからだと考えています。つまり、自らの思考をそこに合わせると、想いを一にする方々と数多く出会うことができるということです。

毎日のようにシニアやシニア予備軍の経営者の方々と話をしている中で、実は共通して皆が「それはよい!」というテーマを見つけました。そのテーマこそ「マイ・インターン」です。
マイ・インターン」は昨秋劇場公開されたアメリカ映画作品です。舞台はアメリカのファッションECサイトを運営する会社。作品のヒロインでもある女性社長は仕事もプライベートも成功し、まさにワーキングウーマンの理想の人生を送っています。そんな彼女のもとに、70歳のシニア・インターンの部下がつくことになるのです。このシニア・インターンを名優ロバート・デ・ニーロが演じます。多くの難題にぶつかり悩む女性社長に対し、的確で含蓄溢れたアドバイスを送るシーンが随所に登場します。苦手意識をあらわにしていたヒロインの女性社長も次第に、この“シニアの部下”を信頼し、そして尊敬の念で接するようになります。

この作品のことをここ1ヶ月ほどで、多くの方々と話をしました。すでに観ておられる方とは、作中の共感したシーンなどで話が盛り上がり、まだ観られていない方には、「ぜひ観てください」とお勧めしています。なぜ、そこまで勧めるのか? それは、これからのシニア活躍の場の創出の大きなヒントになるからです。

若者はシニアが苦手なのは仕方のないことです。考えてみれば、私もそうでした。20代の頃、60代や70代の方の話を聞いても、あまりありがたみは感じません。ましてや、会社の中で60代や70代の方々はすでに重鎮であり、若者がおいそれと接する機会など普通はありません。
しかし、時代は流れ、若者が中心となった企業も増え、新進気鋭のベンチャー企業も数多く登場します。
「今と昔は違う」と若者は言います。その通りだと思います。バブル期と現代では、企業をとりまく環境が大きく変化していることと同様です。時代が変われば、価値観は変わります。しかし、変わらないものも当然存在します。それは、“人間として、社会人としての在るべき姿を年長者から学ぶ”ことです。
だからこそ、シニアと若者が共働することがこれからの日本には必要不可欠だと思っています。若者はシニアの知恵を最大限に生かすべきであり、シニアは若者のような後進に自らの知恵を伝承しなければなりません。
「ナレッジマネジメント」などのような皮相的な表現ではなく、もっと人間同士が手触りのある関係の中で、共に議論し、相談する関係を生みだしていくことが大切だと感じます。「マイ・インターン」は、改めてそのことの大切さに気づかせてくれた作品なのです。

常に年長者が上司であるという常識を覆せば、日本でもシニア・インターン制度を普及させることも不可能ではないでしょう。そのようなシニアの活躍の場を私たちは創出していきたいと考えています。
ぜひ、多くのシニアの方々と協力して、この実現に取り組んでいきたいと考えています。ぜひ、皆さんも「マイ・インターン」をご覧ください。そして、共に感想を語り合えればと思います。

(本記事は、2016/03/23 BRAIN NAVI12号に掲載したものです。)
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