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人材を『仁材』に成長させるには?

日本は2020年の東京五輪へ向けて、国を挙げて再興ムードが高まってきています。
例えば、建設業界を見ると『人が足りない』という悲鳴ばかりが聞こえてきます。
建設業界のみならず、他の業界も株高機運も後押しし、人材を追い求めています。
海外からの労働者受け入れが急速に広がっているのも、そんな時代の流れがあってのことです。

ベトナムも今、日本への人材送り出しビジネスが花盛りです。日本企業がベトナム人労働者を求め、その期待に応えるべく、ベトナム側でも一大ビジネスとして成長しています。

かつての日本企業は、外国人労働者は“単なる労働力”としての受け入れがほとんどといっても過言ではないでしょう。日本では「キツイ・キタナイ・キケン」な仕事は、いつしか外国人がその多くを占めるようになりました。こんな先進国のエゴが長く続くわけがありません。すでにそんな時代は終焉を迎えています。

ベトナムの人材会社に求められているのは、日本に行った後のアフターフォロー力です。同時に、日本企業もベトナム人などの外国人労働者に求めるものが少しずつ変化しています。

「いずれベトナムに拠点展開する際のマネージャー候補」
「ベトナム人のポテンシャルに期待している」

こんな声があちらこちらから聞こえてきます。つまり、ベトナムでも日本でも、“単なる労働力”ではなく“人材”を求める流れへと変わりつつあるのです。

日本とベトナムの両国における人材教育は多くの副産物を産み落とすはずです。
日本とベトナムの両国の密接なパートナーシップがより強固になるだけでなく、日本の強み・弱みとベトナムの強み・弱みを相互補完できる関係を構築できます。

私たちもベトナムの地でのインターンシップにやってくる日本人の学生や社会人を数多く受け入れてきました。ベトナムという地で仕事の一端に触れることは、観光旅行では経験することができない、多くの学びを与えてくれます。一方で、ベトナム人は日本の経験に学ぶ時代がやってきています。日本はアジア諸国の中では真っ先に先進国の仲間入りをし、真っ先に少子高齢化社会に突入しています。
この経験にベトナムは多くのことを学べるはずです。つまり、日本のシニアの方々が良き師であり、歴史の語り部なのです。日本のシニアこそ、ベトナム人を中心としたアジア人に多くのことを伝えるべき重要な役割を担っていただきたいと思っています。

日本とベトナム、日本とアジア、お互いに学びあう時代です。お互いに人を育てる土壌を共有し合える関係を築ければ、今まで実現し得なかった発想やアイディアが、具現化していくかもしれません。

孔子は儒教における五徳のうち、『仁』を最高の道徳と位置づけています。『仁』とは相手を愛しむ心、思いやる心です。相手の国を軽んじ、搾取だけを図ろうとすれば、『仁』は生まれてこないでしょう。お互いに学び、お互いを尊敬し合える関係の中にこそ、『仁』は生まれ、そして、人材は『仁材』として成長していくのではないでしょうか?
そして、このような『仁材』が、両国の文化とビジネスの交流をさらに発展させていくと信じてやみません。

ぜひ、日本とベトナムの両国において一人でも多くの『仁材』が育つことを願っています。そして、その取り組みに対し、惜しみない協力をしていく所存です。

(本記事は、2015/04/03 BRAIN NAVI4号に掲載したものです。)
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