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私のプレイリスト Tempalay

Tempalay(テンパレイ)

2014年に結成された日本の3人組バンド。
バンド名に意味はなく、飲みの場のノリで命名された。
メンバーそれぞれがソロで活躍しながら、バンドとして数々の名曲を生み出している。
左からAAAMYYY(Syn.Cho)、小原(Vo.GT)、藤本(Dr.)

小原綾人(おはらりょうと)

・ギター、ボーカルを担当
・1990年7月5日生まれ(33歳)
・高知県出身
・「小原綾人とFCO(Franchise Owner)」名義でソロ活動を行なっている

藤本夏樹(ふじもとなつき)

・ドラムスを担当
・1991年6月21日生まれ(32歳)
・神奈川県横須賀市出身
・水墨画家CHINPANと結婚(2018)、翌年に長女ききちゃん誕生
・John Natsuki名義でソロ活動も行っている

AAAMYYY(えいみー)

・シンセサイザー、コーラスを担当
・1991年2月5日生まれ(32歳)
・長野県出身
・今年(2023年)、第一子を出産
・ソロ活動では数々のアーティストとコラボしている。

略歴

 2011年、地元高知から埼玉県志木市へ移り住んだ小原が、近所のロックバーで知り合った年上の兄貴分、竹内祐也(たけうちゆうや、Ba)と前身バンドを結成。2014年、対バンで出会った藤本が加入し、Tempalayとなる。初期は新座市のパブ「HOLE」で働きながら音楽をやっていた。
 結成から僅か1年後の2015年、FUJI ROCKやりんご音楽祭などの大型野外フェスに出演、翌年にはアメリカのフェスに参加するなど、破竹の勢いを見せるTempalayは、名盤をハイペースでリリースし、知名度を上げていく。
 2018年6月13日、ベースの竹内が脱退。同年7月に、サポートメンバーだったAAAMYYYが正式に加入する。以降、サポートメンバーの協力を得ながら数々のフェスやライブを行い、独特の世界観をもって名曲を生み出し続けている。






革命前夜

君をジャックしてしまいたい 絶滅危惧種の君を
月にタッチして眺めたい 革命の朝が来るね

 高校同期の薦めで『革命前夜』を聴いたのが、Tampalayに出会ったきっかけでした。
 サイケデリック、エキゾチック、コズミック...Tempalayの楽曲を聴くと、忽ちこのような言葉が浮かんできます。ボーカルの声や構成、歌詞が特徴的で、とにかく、間違いなく私の好きなタイプのアーティストだと直感しました。

「君をジャックしてしまいたい惑星の片隅に」「愛しくおもう日々もさよなら夢のまま夏に溶けてく」
『革命前夜』は、「君」への想いを壮大なスケールで歌ったラブソング(ジャンル分けするならば)です。Tempalayらしいサイケなメロディが誘うトリップは、「革命前夜」というワードがあることで、聴き手に無限(夢幻)の展開を想像させます。
 同曲が収録されたアルバム『from Japan2』には『革命』という曲もあり、思わず『革命前夜』とのつながりを考えてしまうのですが、私の乏しい想像力では二つの曲にストーリー性を見出せませんでした...。小原綾人は何をもってこのタイトルをつけたのでしょうか?(調べれば出てきそうですが)





LOVE MY CAR

愛車のビートルに二人して
海岸沿いを股に掛けて

『LOVE MY CAR』は、1stアルバム『from JAPAN』に収録された一曲です。

 ドライブ中に聴きたい曲は世の中にごまんとありますが、私はこの曲こそ、数ある音楽の中でNo. 1のドライブミュージックだと思っています。
 実際、真夏の海岸線を走りながら『LOVE MY CAR』を聴いていると、夢の中を駆けているような、そこはかとなく幸福な気持ちになります。うっとりしすぎて事故らないよう気をつけなくてはなりません。

「去ってゆく日常に夢から覚めてしまう」「青いランプ日が遠のく」
 トロピカルでサイケなメロディーとは裏腹に、詞では避けることのできない終わりの儚さを歌っています。夢のような時間には必ず終わりがあるという真理を刷り込まれることで、却って夢幻に執着しようと、意識を遠ざけてうっとりした気持ちになってしまうのです。





どうしよう

シュワシュワ夢の真っ最中(中)
夢の真っ最中(中) どうしよう

『どうしよう』は、アルバム『なんて素晴らしき世界』に収録された一曲です。

 中毒性のあるベースラインとサイケなギター、そこに重なる気怠いコーラスと突然のサビ。初めて『どうしよう』を聴いたときの衝撃は、今でも忘れられません。
 MVのシュールでインパクト抜群の映像も然り、この曲はまた一つ私の世界を塗り替えてくれました。

「シュワシュワ夢の真っ最中」「とろけそうなんてあなたは言う」「ひたすらに眠るわ」
 『どうしよう』の歌詞からは、オーバードーズでトリップした時のような、ぐにゃぐにゃしたでたらめな世界が浮かんできます。しかしそこにはつらい現実の影がしつこく迫っており、ただの夢ではない、ダークでアイロニックな印象を感じます。

 個人的にAAAMYYYの「ひたすらに眠るわ」が大好きで、ライブはそれを聞くために行っていると言っても過言ではありません(伝わる人いるのかな...)。





脱衣麻雀

脱衣で麻雀 見せてよ光るちぶさを
裸で麻雀 脱がしてみせてよ天和

『脱衣麻雀』は、アルバム『21世紀より愛をこめて』に収録された一曲です。

 「脱衣麻雀」という言葉は世間一般的に通じるものなのでしょうか?私はこの曲に出会うまで、脱衣麻雀というものを知りませんでした。なんとなく字面から想像したものと調べた結果はニアリーでしたが、こんなにも妖しくエロティックな興びが存在するとは。世界は知らないことで満ちています...。

「風神雷神ガンジャとめどないよ」「雀雀しましょJAMMMAの規制ストップ」
 この曲にはアダルト(それもかなりディープな)な言葉が数多く登場しますが、私は『脱衣麻雀』を聴くと、香港のスプラッター映画のような危険なイメージが頭の中に浮かんできます。エロティックなだけでなく、グロ、バイオレンスを伴った奇しい裏世界に迷い込んだような気持ちになるのです。

 ダンサーのyurinasiaはTempalayとしばしばコラボしていますが、幻怪な雰囲気の『脱衣麻雀』もカッコよくノリこなしています。他のコラボ動画もめちゃくちゃカッコいいので是非見てみてください。





大東京万博

薄氷ほどもろく儚くて儚くて
逃れ逃れどこへ 死なないで生きていてね

『大東京万博』は、2020年にリリースされたシングル曲です。コロナ禍に出されたアルバム『ゴーストアルバム』にも収録されています。

 この曲は、とにかく情報量が多いです。アジア民族の伝統文化と現代のサブカルチャーを、Tempalayらしいサイケなメロディーがミステリアスに融合させており、日本人であることの誇りと同時に不気味な因果を感じさせてくれます。
 なお、この曲は元々『AKIRA』というタイトルで作成されていたこともあって、MVにはAKIRAをモチーフにした映像が散りばめられています。『AKIRA』ファンにとってはたまらない作品です。

「醒めない酔いまほろばいとをかし嬉しからまし」「大東京に宵はガンダーラも夜通し猿知恵はクラシック」
 歌詞も、古典と現代文をシームレスに融合させた世界が描かれています。どことなく、椎名林檎の作詞を思い浮かべてしまいますが、小原綾人も林檎嬢と同様に、よく辞書を読んでいるのでしょうか...?普通に暮らしていてはこんな語彙出てきませんよね。





続・JOE

壊れちゃった 悲しくって
いかれちゃった 突き抜ける期待は

『続・JOE』は、昨年リリースされたアルバム『from JAPAN 3』に収録された一曲です。

『from JAPAN 3』は、Tempalayが過去にリリースした名曲にアレンジを加え、再録したものをまとめたアルバムになっています。そのため、ニューアルバムという形で世に出されましたが、書き下ろしの新曲は一曲もありません。
 小原綾人は「あまり働きたくないから」という消極的な理由で本アルバムを出したと語っていますが、ある種のベストアルバムとして、新旧リスナーからは大いに歓迎されています。

「愛しくって殺しちゃったそれだけの話さ」「シーンに入るそのポージングはヒント閃く瞬間」
 『JOE』はTempalay初期のシングル曲であり、堕落した人間を表すようなハードな言葉が連続します。ただ、オリジナルも再録版も、イントロからアウトロまで痺れるほどカッコよく、ライブはびっくりするほど盛り上がります。途中の「パシパシッ」という合いの手を一緒に入れるのがとても楽しいです。





Booorn!!

(In the bone)ちょっとだけ永遠なように
思えちゃうでしょう ずぼらな感受性

『Booorn!!』は、今年の5月にリリースされたシングル曲です。

 「ボーン!」と生まれ(born)てきたAAAMYYYのお子さんを祝って作ったというこの曲。曲中に赤ちゃんの泣き声やどこからきたの?という問いかけが挟まれていたりと、遊び心と愛の詰まった一曲です。
 リリースを記念して敢行された「ドォォォン!!」ツアーは、セトリをファンに決めてもらうという神企画が催されました。当然セトリは最高で、藤本夏樹のお子さんの「お父さーん!」も聞けて、愛に溢れまくったライブでした...。

「いつもいつも一瞬ひとときの愛してる」「全身全霊の泣きように泣きそうにね」
 歌詞からも生まれてきた子供に対する愛情が伝わってきます。途中の(In the bone)は、「骨の髄まで」とでも解すれば良いでしょうか。bornとboneで粋です。





         ***

 Tempalayというバンドのカッコよさは、その一貫性にあると思います。
「これTempalayじゃなくてもよくない?」という小原綾人のマインドは結成当初から一切変わらず、知名度の高くなった今でさえ独自の音楽スタイルを貫いているところが、ファンにとってはこれ以上なく嬉しいのです。
 つい最近ドラマの主題歌としてリリースした新曲「Superman」もTempalayらしさ全開で、思わず「さすがです...」とこぼしていました。






 スタイルを曲げず、常に遊び心を忘れないバンドTempalay。彼らの活動をこれからも追っていこうと思います。





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