見出し画像

私のプレイリスト ドミコ

ドミコ

2011年に結成されたツーピースバンド。
バンド名の「ドミコ」は造語で、セカオワやレディヘという風に略された名前で呼ばれるのが嫌だったため、初めから略されているような名前にしようと命名された。
Vo./Gt.さかしたひかる(左)とDr.長谷川啓太(右)



さかしたひかる

・1989年3月25日生まれ(33歳)
・岩手県出身
・ボーカルとギターを担当
・好きなアーティストは奥田民生とDeerhunter
・性格は本人曰く天邪鬼

長谷川啓太(はせがわけいた)

・さかしたと同じ東京国際大学の先輩(34歳)
・新潟県出身
・ドラムとコーラスを担当
・好きなアーティストはNeil YoungやPavement
・「バンドとしてやってみようか」とさかしたに持ちかけたドミコの発起人









くじらの巣

愛をそっと海底にもぐらせ 噛んでもらって
ぐちゃぐちゃにされなきゃいられない


 Apple Musicで『くじらの巣」を聴いたのがドミコに出会ったきっかけでした。

 頭にこびりつくギターリフ、中毒性のあるリズム、独特のワードチョイス、ボーカルの声質、かったるい雰囲気。
 全てがドンピシャで、私は忽ちドミコにハマってしまいます。

 バンドについて調べてみると、ギターとドラムのツーピースバンドということが分かって、衝撃を受けました。
 てっきり4人組バンドなのかなぁと思っていたので、まさか2人でこんなにも多彩かつ迫力のあるサウンドを奏でているとはとても信じられませんでした。

 ドミコは、私のツーピースバンドに関する常識を簡単に覆してしまいました。





グレープフルーツジュース

ギルバートグレイプ 明けるまで 
果てるまで 死なないで


 さかしたひかるの歌い方はかなり特徴的です。日本語をはっきり発音することなく、少し舌っ足らずにのらりくらりと歌い上げます。
 ドミコの2人が海外アーティストに影響を受けたこともあって、日本語を英語っぽく歌うスタイルがしっくりきたのでしょうか。とにかく、さかしたの独特な発音はドミコの曲にさらなる中毒性を付与しています。

 『グレープフルーツジュース』は、英語っぽく聞こえる発音が特に顕著だと思います。
 歌詞も相まって、キャンピングカーで移動しながら悠々と暮らすジュリエット・ルイスと、生き方に葛藤するジョニー・デップの姿が浮かんできます。

 ドミコとTempalay(インディーズ時代からドミコと活動をともにしている)には、どことなくアメリカを意識した曲が多いです。
 それらの曲はなぜだか、日本人であるはずの私に懐かしい気持ちを起こさせます。とても不思議で、とても癖になる音楽です。





こんなのおかしくない?

こんなのおかしくない? 煮え出す体温
こんなに葛藤は 消えてしまえ遠くに


 ドミコの中毒性にはその歌詞にも要因があります。

 曲のところどころで韻を踏んでいて、独特のワードセンスにリズム感がプラスされているのです。

 さらに、はっきりと発音しない歌い方によって、普通なら踏めないはずの韻も踏んでいるように感じてしまいます(ラッパーの韻マンが名付けるところの「語感踏み」に似ている?)。

 加えて曲の途中に急な転調が入ったりもするので、サビのリズムが強調されて、一度聴いたら忘れられないほどの中毒性を帯びて届きます。

 『こんなのおかしくない?』でも、「風に吹かれて 〜 行ったり来たり、、、、はあ、、、」の箇所がスローテンポになっていて、後に続くギターリフとリズムが強調されています。





ロースト・ビーチ・ベイベー

吸い上げられる 海まで一人でいたい
吸い上げられる 海まですっ飛んで行きたい


 ドミコは夏に聴くのがちょうどいいです。

 夏を歌っている曲が多いこともありますが、リズムとメロディーが海岸沿いを思わせるような気がして、夏のドライブにかけるとテンションが上がります。

 『ロースト・ビーチ・ベイベー』も、暑い日の海に加え、あり余る若さを歌っています。

「ハジけてる僕らが笑う日は死ぬまで年取ることなんてありえない」
 若さを謳歌した歌詞は、老いというものがこの世に存在しないのではないかと思ってしまうほど爽快です。





ペーパーロールスター

ハロー あたしは 怖がりもしない
ただの死骸もどきなの


 『ペーパーロールスター』は、ドミコの中でも特に疾走感のある激しめの曲です。

 アップテンポで駆け抜けていくメロディーラインは、歌詞と相まって聴くものに力を与えてくれます。
 初めてライブでこの曲を聴いた時は、ドラムが激しすぎてびっくりしてしまいました。音源からもその激しさが伝わってきますが、長谷川さんのドラムさばきは想像をはるかに超えていました。

 曲調の激しい『ペーパーロールスター』ですが、歌詞の内容は「イケイケの俺たち」ではなく、薄っぺらな世界を冷めた目で見る、浩然とした女性が描かれています。

 恐怖心を生み出す凝り固まった観念に警鐘を鳴らすような詩。
「「嫌いじゃだめ」「嫌いはだめ」それがだめ」という言葉が印象的です。





血を嫌い肉を好む

選べない 種類のない 夢心地のあの世の果て
選べない 意味のない 夢心地のあの世の裏


 『血を嫌い肉を好む』は、2021年にリリースされたアルバムのタイトル曲です。

 遠くで鳴っている機械音のようなイントロから、いきなり叫び声とばちばちのドラムが襲いかかってくるこの曲は、ライブにおいて圧巻でした。

 喉の血管を浮き上がらせて「獲物は怖がらせてはいけないらしいすぐに下処理をして寝かしつける」と歌う姿を見ていたら、これから自分が食べられてしまうんじゃないかと震えました(本当に)。
 ただ、釘付けになってしまうくらいめちゃめちゃかっこよかったです。

 ちなみに、ドミコの二人はあまり口数が多い方ではなく、ライブのMCもシンプルでクールな印象です。
 それにはアーティストとしての天邪鬼な性格が反映されているのかもしれませんが、寡黙な二人からばちばちの音楽が飛び出してくるため、お客さんはまんまとギャップにやられてしまいます。








         ***


 ドミコは「ツーピースバンドとは思えない」とよく言われますが、「ツーピースだからこそドミコの音楽だ」とも言えます。

 大学時代から音楽スタジオでセッションに明け暮れていた二人は、徐々に世界観とギター×ドラムの可能性を広げていき、今の多彩な表現力を身につけたのだと思います。
 二人の飽くなき探究心は、これからも新しい音楽の境地を開拓していくでしょう。


 ちなみに、ドミコのグッズはデザインが個性的でカッコいいものばかりです。気になる方はぜひチェックしてみてください。










 結成から10年以上経った今でも独自の道を突き進むドミコ。今後の活躍をこれからも応援していきたいと思います。






この記事が参加している募集

私のプレイリスト

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?