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リファラル採用を始める際に大事な事

前職から転職をし約2年が経過したので、
よくご質問いただく内容と、リファラル採用をやるにあたり
まず、最初に考えるべきことをまとめていきます。

0.リファラル採用の市場動向とよく質問いただくケースについて

コロナ禍による事業シフト、DX化、採用難航化、採用コスト高騰など
様々な背景を基に、リファラル採用の実施企業が非常に増えてます。

マイナビさんのデータによると、2020年には約62.9%の企業様が
リファラル採用を実施しているとのデータがあります。

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引用https://www3.nhk.or.jp/news/special/news_seminar/syukatsu/syukatsu603/ 

一方で、制度は作ったけれども中々上手くいかないというケースが多く
お問い合わせをいただく企業様も、大半がリファラル制度は
既に設計されているという企業様です。

上手くいっていない背景・想定を伺ってみると下記2つに集約されます。
・当社はエンゲージメントが低いから紹介が無い
・当社は他社と比較して、オススメ出来るポイントが少ない

私がご支援させていただいてきた中で、エンゲージメントや魅力が
要因でリファラルが上手くいかなかったケースはあまりございません。

本noteでは、リファラル採用の基本的な戦い方とよくある失敗事例について
簡単にまとめて行きます。

1.まずは、リファラル採用に期待する成果・導入目的・時間軸を考える

リファラル採用の成否・具体的なTipsに入る前に、まず一番重要なのが
「リファラル採用に期待する成果・導入目的・時間軸」です。

自社では上手くいっていないとお問い合わせいただく企業様の大半が
上記整理があまりされていないケースが多いです。

例えば、期待する成果の場合、下記いずれを目指すのかによって
促進施策が全く異なるかと思いますし、成否の判断基準も異ります。

【期待する成果の例】
========================
1.初年度リファラル採用で1名採用する
2.初年度リファラル採用で10名採用する
3.初年度のリファラル採用比率を30%にする

========================


また、導入目的が下記のいずれかによって、成否の判断が異なります。

【導入目的の例】
========================
①コスト削減
②特定職種・採用難易度が高い職種の確保
③ダイレクト採用比率の向上

========================


目指す方向性が決まらないと、どの程度リソースを割き、
どの様な施策を実施すべきが明確にならないため、
まずは下記3点を整理することが重要です。
・背景:自社が何でリファラル採用をやるのか
・目的:リファラル採用でどのくらいの成果を得たいのか
・時間軸:どの程度の時間軸で達成したいのか

2.リファラル採用の変数を理解する

上記が決まったら、次はリファラル採用の変数について
一定考える必要があります。

【リファラル採用の変数】

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上記のようにリファラル採用は、下記5つの変数で構成されてます。
1.全社員数
2.紹介を実施する従業員比率
3.社員1人当たりの紹介件数
4.応募率
5.採用率


この内、取り組みによって改善が見込めるのは、下記3点です。

【施策や導線設計によって改善が見込める変数】
2.紹介を実施する従業員比率
3.社員1人当たりの紹介件数
4.応募率

どの順番で何から手を付けるべきかは、各企業の目的・期待成果・時間軸
によって異なりますが、つまるところ、解決すべきは下記3点です。
====================
・そもそも紹介してくれていない→紹介してもらう
・紹介はしているが、件数が少ない→1社員当たりの紹介数を増やしてもらう
・紹介はしているが応募が無い→障壁を確認し、応募率を高める
====================

3.空中戦と地上戦どちらで戦う必要があるのか

少しタイトルが抽象的なので、具体化します。
空中戦と地上戦とは、下記を表しています。
======================
・全社を巻き込むような「仕組み」によって解決すべきなのか
・少数の社員を巻き込み「個別施策」によって解決すべきなのか
======================

例えばですが、導入目的・期待成果・時間軸が下記の場合は、
どの様な打ち手が最適であるか。

【ケース1:特定職種1名の採用を実現したい場合】
・導入目的:エージェントでは採用出来ない、インフラエンジニアの採用
・期待成果:1名の採用決定
・時間軸:6か月以内

リファラル採用のCVRは、
応募からの入社承諾率:約20%(詳細ファネルは割愛)ですので
約5名応募を獲得出来れば、1名採用に至ります。

このようなケースの場合、全社を巻き込むリソースをかけ、
他事業部、他職種の方を巻き込む必要はほとんどございません。

ケース1の場合は、特定の事業部、職種の社員に対して、
下記4点を「個別」で伝えること方が最も成果が出しやすいです。
A.採用背景と採用状況
B.求めているペルソナ(必須要件と歓迎要件)
C.友人や知人にお送り出来る自社の情報やテンプレート
D.紹介後応募できる受け皿(出来れば、カジュアル面談や説明会など)
※「B」の繋がりを従業員が想起出来ないというケースであれば、
メモリーパレスを実施するのも有効かと思います。

一方で、下記のようなケースでは、
推進方法を変える必要があります。

【ケース2:初年度でリファラル採用比率15%を目指す】
・導入目的:採用コストの削減(約3000万円)
・導入成果:リファラル採用比率15%(22.5名≒23名以上)
・時間軸:1年間
※採用数150名/年 @150万円/1名と想定

※各社の採用職種、事業部ごとの採用目標数など、
考えるべき変数は他にもありますが、個別事由は考慮せずに、
一般論として記載します。

上記の場合、最低でも下記の応募創出が必要です。
・リファラルの応募からの決定率:20%
・リファラル採用目標:23名

→必要な応募数:23÷0.2=115名
※1社員当たり1名紹介してくれても、
115名の社員に推薦してもらう必要がある。

月平均10名のリファラル応募を、各職種横断で創出するとなると
限られた人事リソースの中で、何のあてもなく個別施策を打ち続けるのは
少し難しくなりますので、このようなケースの場合は「仕組み」で解決が必要です。

上記のように、目標数値が一定多いケースの場合、
いきなりHowの選定に入るのではなく。全体ファネルの中で最もレバレッジが大きい変数から、改善する必要があります。

先述の通り、リファラル採用の変数は5つありますが、
コントロールできる指標は、下記3点です。
・紹介社員比率
・1社員当たり紹介件数
・応募率

この内、本ケースで最も重要な指標は紹介社員比率の向上です。
(紹介社員が少ない段階で1社員当たりの紹介数を増やしても、
年間で23名の決定創出はかなり難しいため。)

紹介社員比率向上!と言われても、具体施策が検討できませんので、
更に要素を分解して考えます。

【紹介社員比率の要素分解】
・紹介社員比率=従業員数×制度・求人認知率×紹介率
 ・従業員数:コントロール×
 ・認知率:コントロール〇
 ・紹介率:コントロール△

上記のように分解すると、まずは認知率を高めることが重要です。

【認知率を高めることが重要な背景2点】
1.そもそも自分が知らない施策には協力のしようがない。
2.リファラル採用の6~8割は、友人からの転職相談がきっかけ。
→制度やポジションの概要を社員がしっかり認知していると、
友人からの相談をきっかけに自社を推薦してくれる確率が高まります。

認知率を高めるHowは下記のようにたくさんあります。

【認知を向上させるための施策例】
■初回展開時
・説明会:全社総会、事業部別、役職者向け、中途入社者向け
・社内ポータル掲載:リファラル採用制度の概要掲載
・メール:全社向けのメーリスによる告知
■継続周知時
・社内SNSでの告知:制度概要や募集ポジションの告知
・個別の声掛け:ランチタイムや研修、面談の際に告知・依頼
・メール:新規募集ポストやアップデート情報の配信
                        etc・・・


ここで、大事なことは情報が見られる導線を用意している事ではなく、
情報を届け、認知してもらうことです。

認知が大事というと、大体の企業様は下記のように返答されます。

・社内ポータル制度を掲載し、自社HPに求人もあるので認知は問題ない

ここで、2つ質問をしたいのですが、
1.皆さんが現場にいたときに、自社のHPで求人を確認したことがありますでしょうか?
2.従業員の方が、リファラル採用制度の概要を確認するためには、
社内ポータルのTOP画面から何回画面遷移が必要でしょうか?

従業員の方は、各々のメインミッションをもって働かれております。
忙しい中で、自分で制度や求人を確認して、自分で応募を取ってきてくれ。
そういったスタンスでは、上手くいくものも、上手くいかなくなります。

当事者意識をもって、リファラル採用に取り組んでもらえる組織が
理想ではありますが、まだリファラルの実績が出ていないフェーズでは
少し工数はかかりますが、まずは草の根活動を通して認知率を徹底的に
高めていくことが重要です。

※今回は、リファラル採用をこれから始める、
ないしは、始めたけど成果が出ていない企業向けの記事のため
認知率を高めた後の取り組みや施策については詳細の記載は致しません。

4.失敗する企業の共通項

ここまで読んでいただいた方はお気づきかもしれませんが、
リファラル採用で成果が出ない企業、失敗している企業の
共通項は下記です。

【失敗している企業の共通項】
・目的と目標が曖昧であり、促進施策が設計・実行できていない
・制度や求人データは用意しているが、従業員に届いていない
・エンゲージメントが低い、オススメポイントが無いと自社を否定し改善施策を打っていない

個人的には、リファラル採用は特別な施策でもなんでもなく、
当たり前のことを、当たり前に続けられる企業が強いと持っています。

もちろん、GAFAMやメルカリさんのように知名度もあって、
優秀なタレントがたくさんいる企業と、1スタートアップや中小企業が
同じやり方やスタンスでやっていても上手くいきません。

各社の業界内の立ち位置、規模、競合環境を踏まえた上で、
導入目的、期待成果、時間軸の3点を設計し、実行していくことが
重要かと思います。

日本を取り巻く人口動態の変化、ビジネス環境を考えますと、
優秀なタレントを採用することが、最も重要である一方で、
採用の難易度が上がり続けていきますので、リファラル採用は
絶対に確立すべき採用チャネルの一つだと思っています。

もし、推進に課題を感じられている方は
是非、DMなどメッセージ下さい!

本日はお話が出来なかった、下記の企業様も大歓迎です!
・まずは制度設計から始めたい
・既にリファラル比率が一定程度あるが更に伸ばしたい
・特定の職種、レイヤーのリファラル採用に取り組みたい

長々と書いてしまいましたが、ご覧いただいありがとうございました!

【備考】
日本では、既に約23.4%(転職者の約4人に1人)がリファラル経由で
転職をしています!

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