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「後ろから読む『教行信証』 ―C・G・ユングの『チベットの死者の書』解釈を手がかりとした読解の試み―」明治学院大学教養教育センター紀要『カルチュール』9巻1号(2015年3月)

 変わったタイトルですが、以前、親鸞論の序章のつもりで書いたものです。
 深層心理学者のC・G・ユングは『チベットの死者の書』(これは西洋社会に紹介された時にエジプトの『死者の書』に似ているというのでつけられた題名で、原題は『バルド・トゥードル(中有における聴聞による解脱)』)を深層心理学の立場からは「後ろから読むべき書」だと評しました。そのことを手がかりに、親鸞の主著『教行信証』(正式な題名は『顕浄土真実教行証文類』)の構造を論じたものです。
 真宗では自力をいけないことのように言う傾向があるように感じていますが、仏教的には智慧と方便のどちらが優れていてどちらが劣っているということはありません。『教行信証』は真実、智慧の面から説かれていますが、実践の観点からは「後ろから読むべき書」であることを論じています。

 明治学院大学機関リポジトリで公開されていますので、再掲はせず、ダウンロードリンクを貼っておきます。

https://meigaku.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=1674&item_no=1&attribute_id=18&file_no=1

 去年の夏は集中して『歎異抄』に取り組み、論文「『歎異抄』を浄土信仰の流れに位置づけるー蓮如本錯簡説を踏まえた読み直しー」を書き上げました。前に書いたものとの連続性は意識していなかったのですが、結果的に、姉妹編のような内容になりました。
 年度末刊行の『カルチュール』17号に掲載される予定で、こちらもいずれ明治学院大学機関リポジトリで読むことができるようになるはずです。

 ユングの『チベットの死者の書』論は、『東洋的瞑想の心理学』(創元社)に収録されています。


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