【2020 J1 9節】 横浜F・マリノスvs柏レイソル マッチレビュー
明日から始まる1週間を乗り切れば最高の夏休みに入る大学2年生です。
先週は怒涛の最終課題とテストの嵐でレビューを書くことが出来なかったのですが、最近どういう風に試合を見れば良いのか、何を書けば良いのか分からなくなってしまい、迷走気味だったので良いタイミングだったのかなと思っています。
前節、仙台に勝利。今シーズン初の内容に結果がついてきた試合だったのではないでしょうか。今節の相手は何かと話題になっているオルンガ擁する柏レイソル。4連勝中と好調の相手を叩いて、浮上のきっかけとしたい試合でしたが結果は1対1の引き分け。内容は良かっただけに勝ちたかった、勝つべきだった今節を振り返っていきます。
■スタメン
■マリノス
・4-1-2-3
・天野・マルコスの2IH
・前節同様 CB松原
・エリキが復帰
・相模原から戻ってきた松田がベンチ入り
■レイソル
・4-2-3-1
・前節からの変更は無し
・オルンガは4試合連続ゴール中と好調
■前半 〜
・偽SBと2IH
柏はマリノスの2CBにオルンガ、喜田に江坂、瀬川・仲間の両SHがマリノスの両SBを見る形。CBにきつくプレスに来ないため、前節の仙台戦と同様にCBが比較的楽にボールを持てる展開となった。
マリノスは2IHとすることでレイソルの2ボランチの脇を突くことを狙いとしていたのだろう。それが形となった2:57〜のシーン。
ティーラトンが内側に位置をとり、相手ボランチのヒシャルジソンをピン留め。ヒシャルジソンの脇、ハーフスペースをとった天野に、プレッシャーが緩い畠中から縦パスが入る。ボールを受けた天野は反転しアーリークロス。大外のエリキに渡り、ゴール前まで迫った。
さらに今節最も良かったのは偽SBの動きとIHとの相性。
SBが外→内の動きで相手SHを釣り、IHが内→外の動きで相手SHの横、ボランチの脇をとる。この一連の動きが、CBからのパスコースを作る事、かつIHがフリーでボールを受ける事を可能にしていた。IHがフリーでボールを受ける事でドリブルで前進することができ、難なくゾーン3までボールを運べていた。
またこの動きに相手SHとボランチはマークの受け渡しに迷い、中央を開けてしまうこともあった。
瀬川は「ティーラトン内側に入ったけど、マルコス外来たしどっち見れば良いん?」状態突入。ヒシャルジソンとのマークの受け渡しもうまくいかず中央を開けてしまった。
ただ、マリノスにとってゾーン3からの崩し方はこれからの課題だろう。
・横の揺さぶり
前半、サイドからのシュートよりも中央からのシュートが多かったのはしっかりと幅を取り、相手を横に揺さぶることが出来ていたからではないだろうか。
今シーズン、WGが孤立気味でWGにボールが渡っても相手SBに攻撃を遅らされている内に相手の選手に圧縮され、攻撃が手詰まる場面が多かった。
しかし今節はWGが孤立する場面は少なかった。それは、先程述べた偽SBと2IHに関係がある。
先程は、CBからIHへのパスコースを作るためのSBとIHの動き。これはIHがドリブルで運べるスペースがある自陣深くからのビルドアップの時に有効な動き方。
ではマリノスが相手コートに押し込んでいる時はどういう風にボールを保持していたか。柏は自陣では4-4-1-1の形で守備をしてきた。ここでも先程同様にSBが内に入り、相手SHを内側に寄せる。ここでIHが相手SHの横(外側)に顔を出すのではなく、ハーフスペース(マリノスのWGの横)に留まる。
そうする事でCBからWGへのパスコースができる。CBからWGにボールが入り、相手SBが寄せてくるがIHがすぐ横でサポートしているためWGの選択肢が増え、ボールを簡単に失わない。WG→IH・SBを経由して逆へ展開。これで相手を揺さぶることができ中央が空いてくる。
選手のサポートの距離が良く、ボールを簡単に失わないため相手を押し込むことが出来ていたし、柏の重心が低めだったこともあり、ボールを失ってもすぐに回収できていた。前半はマリノスがやりたいサッカーを表現できたと思う。
10:15~のシーンや22:20~のシーンは選手個々の立ち位置とボールスピードで相手を揺さぶり、中盤を広げさせ、中央を割ってシュートまで持っていく良い形だったた。
(gif3枚になってます)
10:15~ 畠中→小池→エリキとボールを繋ぎ柏の中盤は右へスライド。この間に最終ラインを押し上げる。エリキ→小池→畠中とボールが戻り、柏の中盤は左へスライド。
天野が左サイドのハーフスペースにいるためヒシャルジソンは天野のところまでスライド。ここでヒシャルジソンと大谷の間が開き、畠中→エジガルへと縦パスが通る。エジガルがこれを治め、小池にパスを出した後に相手の最終ラインまで侵入したエリキがエジガルからパスを受けシュートまで持っていった。
22:30の天野の決定機のシーン。天野→幅を取っている小池にパス。天野はそのままゴール前へ侵入。エリキも小池の方に寄ってきたため、三丸がエリキを見る。小池がティーラトンにパス。大南と三丸の間で浮いている天野にティーラトンからの鋭い縦パスが入る。ボールを受けた天野が反転しシュート。これは中村航輔に阻まれた。
SB、IHの動きで相手の裏をかき続け、ゾーン3まで難なく侵入できていた前半。ゾーン3での崩し方が課題となったかもしれないが、相手を横に揺さぶりながら鋭いボールを縦に入れて、シュートまで持っていくことが出来ていただけに前半に点が欲しかった。
■後半 〜
・柏の修正
後半開始から両チームとも動く。
マリノスは水沼→大津、柏は瀬川→戸嶋に交代。
この交代で柏は4-3-2-1にフォーメーションを変更。
中盤の並びは左から戸嶋、大谷、ヒシャルジソン。シャドーの位置に左から仲間、江坂。トップにオルンガ。
中央を割られることが多かった前半。中盤の枚数を増やす事で中央を開けないようにするためのフォーメーション変更に見られた。
オルンガが喜田、両シャドーがマリノスの両SBを見るような形や、仲間が松原・小池(外にいる時)の中間にポジションをとり、どちらにもプレスに行けるようにしていた。小池が内側に入っている時は仲間が背中で小池を消し、松原にプレス。一方江坂は畠中にはプレスをかけずティーラトンにボールが出たらプレスに行っていた。
畠中にはある程度ボールを持たせて、幅を取っているティーラトンにプレス行っていた江坂に対して、後半からシャドー的な位置で守備をしていた仲間。
この守備の意図について試合後ネルシーニョ監督はこうコメントしている。
マリノスは前半同様マルコスがサイドに流れボールを受けるがこれに戸嶋が対応。前半はボランチがサイドに出て行って空いた中央をマリノスの他の選手に使われることが多かったが、中盤を3枚にすることで戸嶋がサイドに釣られても大谷、ヒシャルジソンが中央を締めることが出来る。
これでマリノスは中央から崩すことが難しくなった。
また柏は最後方からSB裏・CB脇へのロングボールを使い始めた。
46:30~のパギが江坂と接触しイエローをもらったシーン、54:53~のシーン。いずれもCBからのマリノスのSB裏・CB脇を狙ったロングボール。
そして61:25~の得点シーンはまさに後半開始から柏が狙っていた形だった。
・松田の投入〜柏の変更〜マリノスの得点
59分にマルコス→扇原、エジガル→オナイウ、エリキ→松田の3枚替え。フォーメーションを4-2-1-3にし、大津を左WG、松田を右WGへ。柏は中央は固めていたので、サイドが空く。
66:50~ 松原→松田へ浮き玉のパスが入り、松田→喜田→松田のワンツーでニアゾーンに侵入。クロスは天野に合わなかった。また松田はSBと1対1になることが多かったが物怖じすることなく積極的に縦に仕掛け、クロスを上げる場面が目立った。中央を封鎖し、サイドではある程度ボールを持たせてくれる相手にとって松田のように縦にも横にも仕掛けられる選手は貴重だ。
それでもなかなかゴールには結びつかなかったが柏の選手交代で状況が変わった。
得点後、4-1-4-1気味で守備をしていた柏だが、72分にヒシャルジソン→三原、仲間→呉屋の2枚替え。ここで柏は4-4-2にフォーメーション変更。呉屋・オルンガの2トップ、江坂が右SH、戸嶋が左SHに入る。
76:50~ 内に絞る小池と、戸嶋の横にいる天野。戸嶋はどちらを見るのか迷い、小池がフリーでボールを持てるようになる。小池の外に開いた体の向きから戸嶋の重心が外側に寄る。小池は体の向きとは逆に相手を騙すようにオナイウへSHとボランチの間を通す縦パスを入れる。
この柏のフォーメーション変更から再び縦パスが入るようになる。
そして76:55~マリノスが同点に追いつく。
松原→小池にボールが入り、天野が大谷をゴールエリア付近まで引っ張り、松田は幅を取り裏を取る動きで相手SBを下げる。ハーフスペースに顔を出した前を向く余裕のあるオナイウに小池からの縦パスが入る。オナイウが前を向き天野とのワンツーで得点。
もちろんシュートは上手だったが、小池の立っている場所、天野の大谷を下げさせてバイタルエリアを開けさせる動き、松田の幅を取るand裏をとる動きでSBを広げ、下げさせる。これらが重なってオナイウがボールを受け、フリーになりバイタルエリアを割ることができ得点に繋がった。
■試合を通して 〜
・CB 松原
前節に引き続きCBをやった松原。CBからWG、IHへの長いレンジのパスを完璧なボールスピードで届けられる。WGへ対角線フィードを蹴れること、SBの頭を越してWGへボール届けられるなどキック精度の高さを見せてくれた。今まで、CBからの配球は畠中の役割とされていたが、両CBが高いレベルで前線に配球出来ることでCBへのプレスを分散させることが出来る。
配球が上手い二人だが、球質が違うのが面白い。
またSBでの経験がCBでも生かされている。
10:53~のシーンはまさに偽SBの動きであり、左サイドが詰まった時の出口としての役割もしている。このプレーは見事だった。
チアゴが戻ってくるまでの間だろうが、今後も松原のCBはオプションの一つになるだろう。
・ニアゾーンの取り方
ゾーン3での崩し方が課題となった今節。エリキ、松田共に見方とのワンツーでニアゾーンを狙っていたがここにもう一人関わらせてニアゾーンを攻略するのはどうだろうか。2IHだから出来ることかもしれないが。
幅をとったWGから直接ニアゾーンランしてくるSBを使うのではなく、WGから一度横にいるIHを経由してIH→SBと繋ぐ。
WGから直接SBだとチャンネルを埋める選手は直線的に走れば良いので追いつかれやすい。一度IHを経由することでチャンネルを埋める選手の目線を変え、足を止めさせることが出来るので、より余裕のある状態でクロスを上げられる。
こういった工夫が見られるとゾーン3での崩しも楽になるのではないだろうか。
■最後に
最後まで読んでいただきありがとうございます。
日に日に、やりたいサッカーに選手のコンディションがついて来ている感じがします。あとは点を取るだけという試合が続いているので、個人的には内容の部分で心配していることはあまり無いです。
今後の前線の選手の爆発に期待です。
試合結果
横浜F・マリノス 1 - 1 柏レイソル
【得点者】
マリノス:78' オナイウ阿道
レイソル:62' オルンガ
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