私はセルフレジが好きです。

本屋で会計をするとき、友人がセルフレジは嫌だと言った。

面倒だし、店員が提供するべきサービスを客側に押しつけているだけでは、というのが主張で、納得するより先に驚いた。そんな事考えもしなかった自分自身に。

確かに自分で手を動かすのは、面倒と言えば面倒だ。レジ打ちが「店員が提供するべきサービス」かどうか断言出来ないけど、確かに元々当然のように提供されてきたものではある。本屋だと、定価販売だから人員削減されればその分利益になるわけだし。そんなに突飛な主張でもない気がする。

でも、ごめんね。私はセルフレジが好きです。

だって店員さんと話さなくて良い。
要らないって言ってるのにポイントカードを押しつけられることもないし、財布を忘れたら何食わぬ顔でキャンセルして立ち去れば良い。
とっさに出す声がめちゃくちゃ小さいので、レジに行けば2回に1回は何かしら聞き返されるんだけど、セルフレジならそもそも口を開く必要もないのだ。最高。

店員さんに話しかけられるのも大の苦手で、特に電器屋で「何かお探しですか」って話しかけられるとどう返事して良いか分からず固まってしまう。だって、探してるけど、助言とか全然ほしくないんだもの。
私は私の価値観に従って商品を選んでいて、その判断基準の大半はネットでさっくり調べられるわけで。
店頭で見たいのは質感とかデザインとかその辺なので、一人でじっくり見させてほしい。

友人や家族以外の人からは、空気のように扱われたい。できればありふれた窒素が良い。
酸素のように必要とされたいわけではないし、二酸化炭素のように温暖化だなんだ邪険にされるのも嫌だ。
毒にも薬にもならない、存在するけどしないものみたいに扱ってほしい。

さすがに電器屋と服屋と花屋では声をかけられても仕方ないと諦めているけど、本屋やスーパーでくらい、空気気分を味合わせてくれても良いじゃないか、と思う。

それを叶えてくれるセルフレジが、私は好きです。とても好きです。
どんどん増えてほしいけど、私の友人のような人もいるから、簡単ではないんだろうな。
空気になるのは難しくて、皆が納得するやり方も難しくて、そういうままならなさを抱えて、私たちって生きているんだな。

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