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ムカデの愚問は興味深い

どういうわけか、2月になって3回も映画館に足を運びました。
間近にみえる季節への期待からか、新しい世界を覗いてみたい気分なのかもしれません。

今日観たのは『天才たちの頭の中』という映画です。
世界中のいろんなジャンルで名を馳せる107人の「奇人」たちのもとに駆けつけ、ほとんど突撃インタビューみたいな形で"Why are you creative?(あなたはなぜ創造的なのですか?)"というシンプルな質問をひたすら投げかけるというもの。

インタビューを受けるのは、ディビット・ボウイ、タランティーノ監督、アンジェリーナ・ジョリー、ショーン・ペン、ホーキング博士、ビョーク、クィンシー・ジョーンズ、ジミー・ペイジ、ディビット・ホックニー、ヴィヴィアン・ウエストウッドなどなど。。

政治家だとネルソン・マンデラ、アラファト議長、ゴルバチョフ、ブッシュ元大統領。。
日本人だと、オノヨーコ、ヨウジヤマモト、北野武、アラーキー。

「よくぞ聞いてくれた」と言わんばかりに語り出す人もいるけれど、多くは「考えたこともなくやってるから分からないけれども」と言い淀むことがほとんど。中には、
「それは危険な質問。ムカデにどうして足を動かすのかを聞いたら、枝から落ちてしまうのと同じこと。自然にやってることを考えさせたら、動きが止まってしまうという。。」という人も。
クリエイターはごく当たり前にそうしているのであって、そこに答えはない。よって愚問。なるほど!

それでも、シンプルな問いから絞り出した答えは、みんなそれぞれ違います。でも思ったのは、よいアイデアはみんな得ることができるけれど、それを形にするのは何か大きな熱意や才能(大きな熱意を持てること自体が才能なのかも?)にかかっているということ。その辺が天才とそうじゃない人の違いなのかしら。

彼らの熱意っていうのは、「こういう自分を表現したい」とか「こんな理想を作り上げたい」っていう欲望もあるかもしれない。
でもそれより、私が心惹かれるのは、劣等感だったり、欠乏感、喪失感といったマイナスの部分を変換して生まれる創造性。
そういうマイナスの部分にその人らしさがあって、それは世界で唯一無二のものであり、とても価値がある。

ホームレスや無職の人がいかにクリエイティブか
災害から立ち上がる人の力がいかに大きいか

窮地の中で、たった一つ希望となるものがクリエイティブなのかもしれない。だから諦めちゃいけない。

たくさんのインタビューの中で、一番心に残ったのはダライ・ラマ14世の言葉。
「人類は今までクリエイティブであったからこそ、ここまで発展してきた。でもクリエイティブは悪い方に向かう時もある。だから知性が大切だ」

ダライ・ラマだからこその重みのある言葉だと思いました。

それまでいろんな人が「クリエイティブでは世界は変えられない(「けれども自分達は創造し続ける」とたくさんの人が言っていました。)と言っていたけれど、長い時間でみれば確かにそう。何もない所から作り上げてきたんだものね。すごいな。人類。
でも一通り発展した今。
今、というか、これから無いもの、不足してるものは何だろうとか、いろいろ考えさせられます。
うーむ。。
悪いクリエイティブについては、何でも鵜呑みにしないで、自分の頭で考えろということなのでしょうね。。
(ブッシュ元大統領がインタビューされてるのが、この映画の一番の皮肉と思わなくもないです。同時多発テロとイラク戦争を生み出したという意味では。。)

他にもいろんな興味深い回答の数々。どれが正解とかではなくて、この中から心に残ったものをとっておくのがいいのだろうなと思いながら見ました。
これからいろんなことを考えたり、新しいことを初める時に役立ちそうな映画でした。

#天才たちの頭の中 #宇都宮ヒカリ座 #クリエイティブ #ダライ・ラマ