「“あいみょん”と言葉の技巧」⑦

おわりに

 ここまで考察してきた内容から、以下のようなことが言える。
 あいみょんの歌詞には、「言葉の技巧」が多く登場する。彼女のように言葉を自在に操れるアーティストは、J-POP界では稀であるため、彼女の表現はJ-POPというジャンルにおいては群を抜いて優れていると言える。しかし、文学作品——例えば現代詩——の中に彼女の表現を置いてみると、種々の現代詩がそれぞれ社会に流通する既存の考え方を覆すような、新しい物の見方を内包しているのに対し、彼女の作品は、ただ言葉の装飾によって構成されただけの作品にすぎず、優れた表現とは言えない。
 しかし、あいみょんは、他のJ-POPのアーティストの歌詞に対して、もっと独自の表現を追究しても良いのだ、という強いメッセージを発していると言えるのではないだろうか。実際あいみょんは、彼女独自の「言葉の技巧」を次々と生み出している。彼女はそのように、J-POP界において、自らの役割を見事に確立することのできたアーティストであると、私は考える。

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