「スカウト目線の現代サッカー事情~イングランドで見た「ダイヤの原石」の探し方~」を読みました.

「スカウト目線の現代サッカー事情~イングランドで見た「ダイヤの原石」の探し方~」を読みました.著者はイングランドで4年間サッカー選手のスカウトをされていた田丸さん.noteアカウントをお持ちで本書についての記事も書かれています.

元は光文社さまでの連載のようです.

無料公開の記事もあるようです.私は今知りました(笑.

プロクラブのスカウト経験者が実体験を語っている本なので面白いところしかないわけですが,本書序盤で特に印象に残っているのが試合を見ている量.


スタジアムで見る試合の数は1週間に平均8試合。録画された映像も含めると12試合ほどになる。

田丸 雄己. スカウト目線の現代サッカー事情~イングランドで見た「ダイヤの原石」の探し方~ (光文社新書) (p.34). 光文社. Kindle 版.

職業柄学生に「勉強の絶対量が足りない」と指導するわけですが,スカウトの分野でも一緒なんですね.とにかく量をこなすところがスタートライン.

スカウトから選手獲得に至るまでのケーススタディーをいくつか読めたのも良かったです.プロサッカーを見初めて,愛着のあるクラブや選手ができ始めた人は読んでおいて損じゃない本だと思いました.

個人的にはデータ活用の現状について知りたかったので,それについて言及があったのも満足度が高かったです.年齢効果とか成長予測モデルについての論文を読んだりもするのですが,やはり選手の未来予測は難しいですね.データが増えてきたといっても効果的なモデルがスカウトを超えられるのかどうか.

頻繁に「アカデミックな」と学術的な競技への取組・分析について触れられていたのも興味深かったです.わたくし個人としては完全にファン目線でサッカー(をはじめとしたスポーツ全般)に触れており,トレーニングや競技の学術的側面に直接触れる機会がほとんどないんですよね.イングランドの大学のサッカー学部とか,どんな授業するんだろう?

こうした読書は自分がこれから手を付けたいこと,というよりは,「どの部分には気軽に手を付けたり専門家ぶったりしてはいけないか」を確認するためでして,本書もそういった効用は十分でした.これからも現場を見ない(見れない)系スポーツデータファン兼研究者として,言って良いことと良くないことを区別していこうと思います.

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