得点割合を説明する指標(レーティング)と,FIFAランキングはどちらが正確なのか?

概要

・得点割合を説明するようにした実力評価指標(ここではレーティングと呼んでいます)は,ランキングと解釈したとき,FIFAランキングよりも正確であるようだ.ただし,かなり長期間で無いと差は有意ではない.

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以前の記事で,現在開催中のアジアカップの展望を述べました.この手法の正確さを検証するために,同じ手法で実力評価を行い,過去の主要大会の予測精度を計算しました.主要大会とは,過去20年(1998年から)のFIFAワールドカップ,および各大陸連盟のトップトーナメントです(UEFA EUROとかCopa Americaなど).予測対象となったのは50大会1568試合でした.各大会は頻度が異なるので,大陸ごとに試合数に偏りがあります.

実力評価は大会前日から過去4年間の国際試合(親善試合も含む)に基づいて計算します.比較対象として,大会直前のFIFAランキングも公式サイトから値抽出しておきます.

結果

全試合に対する,二つの方法(提案手法およびFIFAランキング)での予測正解数を示します.引き分けは別項目としています.「両方ともはずれ」は勝ち負けがついた試合のみです.また,ノックアウトステージでのPK戦は記録上引き分けです.

(本文とは関係ないですが,noteで表を簡単に書く方法を知りたいです・・・)

勝利の予測正解率で,提案手法はFIFAランキングと比べて+0.024程度の改善が見られました.「予測正解率が同じである」という帰無仮説に対するマクネマー検定(https://oku.edu.mie-u.ac.jp/~okumura/stat/mcnemar.html)を行うと,p=0.0215で,有意差ありと判定されました.ということで,20年間くらいの長い目で見ると,得点割合を説明するモデルでのランキングのほうが有意に精度が高い,と言えそうです.

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